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抵抗と執念のクーポン

昨年末に我が家がもう何年もお世話になっていた近所のスーパーが閉店した。

パンデミックの影響ではなく、前々から大手スーパーの買収が決まっていたらしい。その閉店してしまったスーパーはアメリカの大型スーパーとは似ても似つかないローカルスーパーで、ご近所さんのニーズに色々とマッチした良店だった。

パンのコーナーには店内で焼いたパン、ケーキ、クッキーなどが並び、アメリカ人がよく買うイタリアンブレッドもドイツで食べたようなソフトプレッツエルも、メキシコの甘いパンもある。チーズコーナーも、お肉も、野菜も、スナックも、国際色豊かで見ているだけでも楽しかった。この一帯は中米・南米からの移民も多いし、大都市から引っ越してきたお金持ちもたくさんいる。なのでトウモロコシのトルティーヤ30枚入りもオーガニックパスタやトリュフオイルもあった。難を言えば日本食関係はポッキーとキッコーマン醤油(ポン酢、照り焼きソースなど)とサッポロビールしかなかったことか。まぁ、この界隈に住む日本人は私1人だろうから仕方ない笑。

閉店はコミュニティをあげて悲しまれた。ローカル新聞にも乗り、最後の週は人でも多かったらしい。らしいというのは、その時は我が家は真剣勝負のの自粛生活だったので6週間に1度しかスーパーに行かなかったからわからなかった。

11月の買い物から6週間経って出向いてみたら看板も取り外された後だった(涙)。

それから約半年。その我らが愛したスーパーを乗っ取った、にっくき大手スーパーが華々しく開店した。3週間前から大々的に宣伝を出し、オープン記念のセール品を並べたチラシがポストに入れられ、開店間近にはこんなクーポン券も送ってきた。

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左上から順に5月19日から1週間は40ドル以上のお買い上げで10ドル引き、次の週は30ドル以上で10ドル引き、来週は20ドル以上で10ドル引き、そしてその次の週は10ドル以上のお買い上げで10ドル引きだ。

このスーパーには行くまい、と思っていた私だったが(買収もそうだけどこのスーパーは野菜も果物も、なんでもビニール袋に入れて販売しているのが気に食わない)ちょっと気が変わった。

最終週の10ドル以上で、の時に出向きたいと思う。そして10ドル10セントのお買い物をして、10セント払って出てこよう。

ささやかな抵抗と執念のため、このクーポンを財布に大切にしまった。

シマフィー

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