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音楽が連れてくる過去

学生の頃聴いていた音楽は“今”を楽しむものだった。
若い私は 今現在を楽しんだり、しんみりしたり、涙を流したり、愛を語ったりするために、この曲がふさわしいとかあのバンドのレコードをかけよう、と音楽を決める。

この歳になると音楽は過去を連れてくる。
今楽しんで聞いていたとしても、なぜか過去と直結している。
訪れた場所や、馴染みの喫茶店や、好きだった人や、私を振ったバカヤロゥなどにスルスルと繋がっている。
それは多分新しい曲を聞いたとしても、その詞であったりメロディであったり、歌い手であったりが過去の誰かや曲を思わせるからであるし、単に昔の音楽を聴いているから、という理由でもある。
Youtubeを探せば年代別でベストヒットなどに出くわすし、サブスクのSpotifyなんかでは高校生の時に聴いていたバンドのアルバムが丸々無料で聴ける。クリックするとちょっと危険だったりする。遠くで休んでいた過去が生き生きと息を吹き返すから。

私は去年の3月にThe ALFEEにハマってから(30年ぶり2度目)はアルフィーしか聴いていないけれど、時々夫の部屋から懐かしい曲が漏れ聞こえたり、スーパーやガソリンスタンドなんかでちらっと耳に入ることもある。

20代の私は何の思い入れもなくこれらの曲を聴いていた。
1人でドライブしていたり、家でホームパーティーをしていたり、好きな人を招待して手料理を振る舞ったりしたときにラジオからテレビから流れてきた曲。
当時は何とも思わずに聴いていたのに、今改めて耳にすると音に乗せてキスをしようと近づいてきた顔や、塩っぱいスープの味や、山を染める夕日や、冷たい涙を感じる。

音楽は生きているんだなぁ、そして私の過去は音楽に生かされているんだなぁ。

嫌なことがあって、ロッキー山脈のグルグル道を1人でドライブしていた私

大好きだったのにはっきりと“好みのタイプじゃない”と振られた私

夜中に翌日のスピーチの練習を繰り返ししていた私

誰か素敵な人と会わないかな〜と毎日近所のカフェでぼんやり座っていた私

1人で夕飯を食べながら、お母さんの美味しいご飯食べたいなぁと思っていた私


30年後に今聴こえている音楽がラジオから流れる時、私は音楽が連れてくる過去についてnoteを書いている自分を思い出すのかな。

シマフィー 

*音楽と私についてこんなのも書いてました


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