見出し画像

Goes Around Comes Around

"What goes around comes around" とは因果は巡る・ツケが回るという意味のよく耳にする英語表現だ。誰かが悪さをして、その代償が巡ってきた時に "Goes around comes around!" と ”神様は見てるね” みたいな感じで言う。最近はもっと簡単に ”Karma!"(仏教の言葉・カルマ)と言うことも多い。

周りには悪いことをする大人が本当にうんざりするほどたくさんいる。交通ルールを守らなかったり、ゴミをポイ捨てしたり、失礼な態度を取ったりする野郎たちに遭遇すると、そいつらに最悪な何かが起こりますように、と呪いをかけている。

家に帰ったら奥さんが家出していますように

職場に置いておいたランチが腐っていますように

駐車場に停めていた車にカモメのフンが大量に落ちていますように

楽しみにしていた映画を観る前にネタバレされますように


そんなGoes around comes aroud の呪いをかける日々だが、一度だけ本当にその審判を下す役が回ってきたことがある。(アメリカ東海岸におります)

とある朝、学校へ行く道すがら正面から来た車が左に曲がる交差点でストップサインを丸無視して進むのを目撃した。こんな感じの交差点でストップサインは2つある。(私の素晴らしいイラストを参照してください)

画像1

向こうから来たオレンジの車は曲がる前に一度、そして合流前に一度完全に止まらねばいけない。私が乗る青い車は止まれはないのでそのまま右手に曲がる。

私は60キロほどのスピードで右にウインカーを出し、右方向への車線へ流れたが、前方からのオレンジは2つのストップサインでは全く止まらずスピードをあげて私の前に割り込んできた。

交通ルールを丸無視してカットインしてきた阿呆にビーーーーーーーっとクラクションを鳴らすと、オレンジは窓から腕を伸ばし中指を立て、上下にぶんぶんと振り回した。自分が悪いのになんともムカつく野郎なのでいつも通りに

こいつのランチが向こう一週間腐っていますように

と呪いをかけ、後をついていく。道は一本しかなく、同じ道を進み、15分後にはなんと私が勤める高校の駐車場に入っていった。

だだっ広い駐車場の向こうっ側に停めたオレンジを見ながら、うちの教師か父兄か出入りの業者か、いずれにしろ関わりたくないと思いながら校舎に向かう時に後方にちらっとオレンジから降りてくる若い女性が見えた。

後ろは振り返らなかったが、彼女も私が入ろうとしている校舎へ向かっているのがわかる。

そして教室に入ってしばらくすると、ガラスドア越しにトントンとノックされ

”今日、8時に面接があるのですが、ちょっと早くついたのでお手洗いを教えてください” と可愛らしい女性が顔をのぞかせた。

はいはい、あちらにありますよ、と見送ってから、ひょっとしたらこの女性がオレンジの野郎だったのでは?と思い、お手洗いを出てきた時に聞いてみた。

”歴史学部のシマリスです、初めまして、ところであなた、オレンジのスバルに乗ってます?”

返事は ハイ だった。訝しげな顔をしながらも、答える声は明るく、ハキハキと ”今日は文学部の部長と面接です。” と答えてくれた。

文学部の部長はその日家族に不幸があり来れないことがわかっており、昨夜のうちに私がその面接担当になっていた。私が面接をする女性だった。

なんという運命!私はドキドキしながら呪いの言葉を大きな声で告げた

”そうですか、もう帰っていいですよ”

そういう私に ハァ? と今度はあからさまに不機嫌な顔をした彼女に ”交通ルールも守れず、中指を立てて威嚇するような人は面接しませんよ” と告げるとみるみるまに顔を真っ赤にさせ ”あれは!急いでたから!あなたがクラクションを鳴らすから!”と騒いだ。

”お前になんの権利があって面接を取りやめるのだ、せっかくここまで来たのだ” と騒ぎ続けるのでセキュリティのおっさんに電話をし、校長にも来てもらい、事の次第を話し帰っていただいた。彼女は両脇をセキュリティのおっさんに掴まれてオレンジの車までエスコートされていった。

Well ...what goes around comes around, huh

校長先生もちょっと可笑しそうに笑ってた。私は初めて効いた呪いにめちゃめちゃ爽快な1日を過ごした。

シマフィー 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?