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”いつか先生とハグできる日が来るのかな”

日本も感染者が増えているようですね、ニュースを見るたびに数字の意味を考えることが多くなりました。私の住んでいるアメリカ東海岸でも陽性者数が信じられないほど多くなり、うちの学校もこれまでより一層マスク+手洗い+消毒+換気が強化されています。(*私立高校で教師をしています)

うちは学校内での感染を徹底的に防ぐため、教室内でのディスタンス、ランチ時の列や座る場所、毎朝の健康チェック(登校前にアプリで報告)、全職員と生徒の定期的なPCR検査を行ってきました。その甲斐あってがパンデミックが始まってからこれまで学校内での感染は一度もなく、これまで全員が一丸となり懸命に努力したことが報われていると思っていました。それでも外に出ればもう規則は個人の判断となり、クリスマス+ニューイヤーの休み中に感染した教師や生徒がたくさんいて、先週の授業に出た生徒は半分ほどでした。ホリデー気分で気が緩んでいるのもあるだろうし、去年の自粛の反動もあり、旅行に出たり家でパーティーをする人も多く幸い重症には至らずとも感染してしまったせいで10日間隔離の教師がなんと15人もおり、正直”大人なのになにやってんだ”と腹立たしい気持ちもあります。15人をカバーできる人数の臨時教師もいないので、ちゃんとした授業もできてなかったはずです。

休み開けて2週目の今日は、先週よりも更に減ってクラスは3分の1ほど。がらんとした教室に生徒が5人。外はマイナス10度だけれど、規則で窓は換気のために開けてあるため余計に室内が広く冷たく寂しく感じます。今週からマスクもN95か普通のを2枚重ねが義務付けられ、声もこもりがちです。

5人しかいないのでみんなで円になって座り宿題について話したり、ビデオを見たりしていたのですが、私の隣(1m先)に座っていた男子生徒がふと私の方を見て小さな声で言いました。

”ミスシマ、僕はいつか先生とおはようとかありがとうとか寂しかったよとかさよならとかのハグが出来るのかな”

10年生の彼はあと2年半で卒業です。がらんとした教室と恐ろしい数になっている感染者の数字を毎日見ているので不安になったのでしょう。もしかすると自分がこの高校を卒業するまでこの状態が続くのかもしれない、そんな想像をしたのだと思います。

パンデミック以前は毎日生徒にハグしたり、手を握ったり、ほおをすりすりしたり、肩をぽんぽんしたりしていたのに、もう2年も誰にも触っていない。

いつかはこの状態を抜け出てまた前のような日常が戻るのだと信じたいけれど、今日は6人だけの教室で、少し悲しい気持ちが大きくなった1日でした。

シマフィー 

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