見出し画像

あなたの視点を自由自在に操る:"Nobody Knows Me"

アルフィーファンの”幸ちゃんボーカルベスト10”には必ず入っているのではないかと思われるこの曲。1984年に発売された名アルバム、The Renaissance に収録されています。

昨日ラジオ(終わらない夢)が終わった後にDMをいただいたんです、この曲の最後歌詞に載っていないコーラスの部分は何て歌ってるんでしょう?って。
アルフィーさんのコーラスは英語の単語だったり、フレーズだったり、文章だったり、ウーとかアーが混じってたりと色々です。ちょっと聞き取れそうなものも何しろコーラスだし高音だしハモってるしでわかりづらいんですよ。
などと見苦しい言い訳をしつつ、楽しそうなリクエストにやる気が湧いて笑、早速聴いてみました、Nobody Knows Me!
シンプルながらなかなかに深い歌詞の考察の後にコーラス部分の解説をしますね。

歌詞を読みながら曲を聴き、作詞をされた高見沢さんはどんな風景や人物を思いながら作ったのかなぁ、と考えることが好きです。
この歌詞は全体的に誰かの孤独を思うままに表現し、誰しもが”あ〜そうそう”と共感したくなる内容ですが、よくよく読み込んでいくと、その組み立て方に高見沢さんの天才っぷりが滲み出ていて、くぅーーーーーっさすがや!と天才・トシボン(最近言わなくなったね笑)を讃えたくなる名曲でした。

Nobody Knows Me はズバリ”高見沢俊彦があなたの視点を自由自在に操って心をキュッとさせる”曲です!

大きく広がる風景からどんどん視点が狭くなる一番

A 暮れなずむ都会を 夕陽が染めあげて
B 家路へ急ぐ人波を ぼんやり見ている
Nobody knows me 本当の僕を誰も知らない
C つくり笑いの毎日 ふとためいきをつく
D くわえ煙草が苦い 一日の終わり
*ABC Dは私が付け足しています

Nobody Knows Me:作詞 高見沢俊彦、以下の引用も同

まずは都会・空、と自分よりもずっとずっと大きく遠く広がる風景を描くA、そしてちょっと視点を狭めて人波にクロースアップのB。
そこからさらにぐぐっと寄って自分と周辺の人物を見せるC。
最後は幸ちゃんの口元にフォーカスするD。
聴き手が見る世界を巧みに操ってぽつんと座ってタバコを吸う幸ちゃんの孤独を存分に引き立たせています。
これが逆だと幸ちゃんの苦しい心が際立たないのですよ!どんどん狭くなる視点と共にあなたの心もジワジワと絞られて切なくなるのです。

向き合いながら世界が重ならない二番

A うわべの優しさだけで 君は愛を計るのか
B 何故この心の中を 見ようとはしないのか
B Nobody knows me 本当の僕を君は知らない
A すれ違う言葉が今 愛を遠ざけてる
A&B 抱き合うそれだけが 男と女じゃない

C 少女の面影をいつか ルージュで塗りつぶして
涙の数だけ君は 大人になった

二番の視点は外(A)と内(B)の二つで構成されています。
曲の軸である "Nobody knows me 誰も自分を知らない"という部分を歌詞の中心に置き、視点を人物が見る・感じる表面的な部分Aと、内側に潜む本当に大切な部分Bを行ったり来たりしながら、最後は ”抱き合う” という表面的な行動以上の何かを求める着地点で愛する人にもわかってもらえない幸ちゃんの寂しさを際立たせています。
そしてそれに続くCの部分は外Aと内Bの良い部分と悪い部分を対極に描いています。
良A:少女の面影  悪A:ルージュで塗りつぶす
良B:成長する   悪B:涙たくさん、大人になること
多分そんな君のことも Nobody knows なのだと思われます。


刹那と永遠の視点の三番

都会の孤独の中で 慰め合うだけの愛
心も体もひととき 燃え上がるだけさ
Nobody knows love 本当の愛を誰も知らない
目の前の幸せが すべてじゃない
冷たい風が心を 寂しく吹きぬけた

三番の歌詞は幸ちゃんが見る一瞬と永遠の対比を美しく取り合わせた内容です。
一瞬で燃えて消える愛と長く続く孤独
目の前の幸せともっと大きく深い幸せ
さっと吹き抜ける冷たい風と永遠に誰も知り得ない本当の愛
聴き手は知らないうちに光と暗闇、暖かさと冷たさ、炎と灰、などの両極端な世界を見せられているわけです。

さて・・・最後のコーラスの部分は一体何と歌っているのだろうか?

この記事を書くのに片っ端から聴いてみました。アルバムバージョン、ライブバージョン、皆さんのカバーまで、聴けるものは全部聴いてみてからの結論です。

というか、一つ聴いただけではわからなかったのです笑。
ゆーつーぶの映像(ベイエリアのもの)では口元のアップが見れないためにどう発音しているのか(唇を合わせてるのか、噛んでるのか、大きく開いているのかなど)がわかりづらく、聴くたびに混乱しまして・・・。

最初はこう聴こえたんです(ベイエリアの映像)
La la la You are like a にゃにゃにゃ(sitting, Sydney, setting そんな音に聞こえた) blue    と la la la I'll help to sing my song
意味わからん・・・・なんのこっちゃら。

そして次はこの映像を見たんです(2015 One Night Circle)
なんとこのバージョンは最初の部分が全てラララーしかない!
最後の英語のフレーズは高見沢さんの口元のアップがありなんとなく想像がつきました。
La la la Set me free (自由にしてくれ)
La la la Sing my song (自分の歌を歌う)
”My"の部分が ByやPie に聞こえるような・・・気がしたのですが、MもBもPも上下の唇を合わせて弾くような発音ですので、意味からするとMYでしょう。
*追記:2/26にもう一度このバージョンを聴いてみたら、違うフレーズに聞こえました😂 La la la Saved by song と聞こえます!上でByに聞こえると書いていましたが本当にそうでしたw

最後はアルバムThe Renaissance の音源です。
ここではこんな風に聞こえました・・・
You are like, "You set me free"(君は”私を自由にしてよ”って感じだった)
I'm free to sing my song (僕は歌う自由がある・自由に歌っていい)
なんとなく曲の内容にあってますね!

*ちなみにLive LPのOne Night Dreams とPromised Loveに収録されているバージョンはコーラスが全くなかったです笑。

皆さんにはどう聴こえたでしょうか?
私は生活約90%を英語で過ごしている(残り10%はアルフィーさん関係とNoteの日本語笑)人間ですが、”真夜中をつっ走れ”の最後で桜井さんが
”Go!Go!Go! カッターカッターー!”と叫んでいるのは何故だろう?と思っていた人です(実際はGo! Go! Go! Midnight Runner! ある日突然ちゃんと聞こえました笑)のでこれも間違っているのかもしれません。
もし真相を知ってらっしゃる方がいたら是非是非名乗り出て教えてください!

Nobody knows・・・なコーラス部分ですが、高見沢さんの巧みで美しい言葉と映像と音楽の魔法に浸ったらもう抜けられない、そんな曲です。

nya-suさん!リクエスト、本当にありがとうございました。
この記事を書くまではちゃんとこの曲について考える機会がありませんでした!
nya-suさんに教えていただいたのですが、この曲はアルバム中一番時間をかけて作られた歌詞だったそうです。
また一つ高見沢さんの天才を暴露する記事が増えてしまってw本当に嬉しいです💖
そして皆さんも”これも考察して欲しいー”とリクエストがありましたらジャンジャンDMください😂

シマフィー

*アルフィーさんは公式のゆーつーぶがありませんのでファンの方がアップしている映像です。かっこいいアルフィーさんを堪能した後はぜひサブスクやCDで聞いてみてくださいね〜

この記事が参加している募集

#私のプレイリスト

10,960件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?