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「母親じゃない女」の魅力と致命的欠点

前回さらりと書いてしまった「35歳以上の女性はマッチングのフィルターに引っかからない」件。婚活界においては常識だと思っていたが、まだまだ知らない女性は多いようなので、少し掘り下げよう。

婚活をしている男女は、当たり前だが「結婚する」目標を達成すべく、活動している。
ではなぜ結婚したいのかといえば、その理由はさまざまだ。

「家庭を持ちたい」「家族が欲しい」「愛する人と一緒に暮らしたい」あたりが多数派だと思うが、さらに抽象化すれば、その裏には「世間体」「親孝行」「寂しさ」「安心感」といった本心が隠れている。

当の私も、婚活のトリガーは「孤独」だった。
金魚を飼っても「触れない」距離感が物足りず、犬を飼って体温を味わっても埋められない寂しさを知ったら、もうその先は人間しかない

私が欲しいのは、非日常の刹那ではない。生活に根づいた「家族」だ。
もちろんそれは両親の「子」としての立場ではなく、私自身が家庭を作りたいのだ。つまり欠乏しているのは「夫」の存在だ。

だが婚活界に生息する男性の多くは、結婚の先に子供を望んでいる。むしろ「自分の子供を持つ」目的の背景に「妻(および家庭)」が必要だから、婚活をしているともいえる。

メリットがなければ、結婚なんてしようとは思わない

きっと女性のあなたは「そんなに子供を欲しがる男性なんているの?」と思うだろう。自分を基準に、これまでどの恋人からも子供どころか結婚すら求められなければ、疑うのも仕方がない。

残念だが、それはあなたの元彼たちが交際当時まだ子供を望まない年齢や立場だったか、あなたとの子供が欲しくなかっただけだ。出会うタイミングが違っていたら、結婚へと進展した可能性もゼロではなかったかもしれない(後者の場合はゼロだが)。

多くの男性にとって、結婚はメリットを感じるものではない
自由な時間や自由に使える金銭が減り、家庭に縛られるくらいだったら、独身のまま自分の好きに生きて、責任を負わず恋人と遊ぶだけのほうが楽だ。

しかしそれでも結婚する男性のほうが過半数なのは、そこにメリットを感じているからだろう。
上とは逆に、妻と子供がいる温かい家庭を持つこと、家事をしてもらえる=仕事に専念できることを望む男性は「いつかは結婚したい」と望んでいる。公言はしないが「結婚すれば、いつでもセックスできる」をメリットに掲げる婚活男性も、実は少なくない(笑)

メリットを享受するためには、デメリット的側面も甘んじて受ける必要がある。結婚にメリットを感じている人は、不自由になったり責任を負う重圧を覚悟しているし、独身貴族でいたい人は、その分孤独や寂しさとつき合っていくしかない。

これらは主に男性側の話だが、今や女性も男性同等に社会進出している故、結婚に対するメリットも似たようなものではないかと思う。ただ婚活女性の中で「子供が欲しい」が結婚の目的になっている女性は、男性ほど多くないように感じる。

婚活男性は、熟女に何を求めるか

というわけで、子供を望まない婚活女性のマッチングが難しくなる理由は理解してもらえただろう。すでに妊娠する可能性がほとんどない熟女が婚活界において除外されがちなのも、そういうことだ。

ただ、熟女と釣り合う中年(もしくは熟年)世代の男性をターゲットにするならば、さほど市場はシビアではない。アラフォーあたりはまだ微妙だが、アラフィフ以上の婚活男性においては、結婚と子供をイコールで考える人は少数派だ。むしろ前妻との間に子がいる可能性が高い。

中には「これから結婚&出産した子供が成人したときの自分の年齢」を無視しているのか計算できないのか、「子供希望」で相手の希望年齢を35歳以下にしている熟年男性もいる。しかし、そんな頭の悪い男性(失礼)とは条件的にマッチングしないと思うので、心配には及ばない。

前置きだけで半分以上費やしてしまったが、ここからが本題だ。

たいていの婚活サイトにはマッチング機能がある。そこで自分とマッチングした男性たちは、つまり「アラフィフ熟女もOK」ということだ。マッチング如何にかかわらず、直接メッセージを送ってきたならば、それはコンマ数パーセントくらいの可能性で「運命の男」かもしれない。

私個人が婚活中にリサーチした限りのデータなので母数はわずかだが、自身の年齢に関係なく「若い子ではなく、あえて熟女を婚活相手として選ぶ」男性は、女性に対し「包容力」「収入」「(同世代だから)楽」あたりを期待している。

ちなみに、婚活マッチング対象(私)からここまで直球で訊かれるのはレアケースなのか、特にプロフィールを偽っていた時期は、質問を投げた時点でブロックされたり訝し気な反応をされることが多かった。しかし物書きであることをオープンにしてからは「あくまでリサーチですが」と前置きすれば、割と気安く応えてくれた(感謝)。

しかし、私は得られた回答によって、再び自信を失いそうになった。

母性本能がダメなら、別の魅力で勝負すればいい

包容力というのは、年輪に比例して持てるようなスキルではない。むしろ環境において次第に培われる種類のものだ。
女性の場合、長女に生まれ下の兄弟の面倒をみていたり、子供を産み母親となることで包容力は芽生えていく。

私は末っ子だし子供もいない。その環境から「天真爛漫(要は年齢より幼い)」「甘え上手(頼られるのは苦手)」といった、包容力とは真逆の性質ばかりが発達していた。犬を飼ったおかげで多少は「愛する者を守る」メンタルも育ってきたが、大人の男性相手では、せいぜい非日常の赤ちゃんプレイ程度しか応えられないだろう(それは包容力とは違うか)。

子供のいない熟女は「母」スキルに欠ける。母性本能も発達していなければ、愛する人にも守るより守られることを望みがちだ。

我ながら、いい大人なのに情けない。本来結婚し子供を産み育てるはずの20~40代を、仕事と遊びでパヤパヤと過ごしてしまったせいだ。一応結婚も経験したが、マトモな結婚生活を送ってなかったせいか、精神的に成熟しそびれてしまった。

だが、私みたいに刹那半生を送ってしまった熟女も、落ち込む必要はない。母のように大きな愛情で包み込むスキルは乏しくとも、末っ子気質で甘えん坊でも、それを歓迎してくれる男性はきっといる。

誰もが女性に包容力を求めているわけじゃない。逆に父性本能豊かな長男気質の男性は「女性を守る」「男性がリードする」関係のほうが落ち着くという。

成熟した大人の「いい男」(ここ重要)は、妻となる女性に「母親」を求めない。母親になりそびれた私のような熟女は、好きな女を甘やかす性癖の男を選べばいい。

ジジババになっても甘えさせてくれそうな頼もしい男性だって、婚活市場にはたくさんいる。むしろ年齢がアップするほど、一周回って「前の結婚は相手を選び間違えた」バツあり独身男性、あるいは「女房に先立たれた」死別の独身男性が市場にエントリーしてくる。

婚活市場にいるアラフィフ以上の男性は、決して「誰からも相手にされない」しょぼくれた中年ばかりではない。
自分より若くて働き盛りのアラサー男性しかターゲットにできない熟女の場合マッチングは困難を極めるが、自身と同年代~アラカンまで視野に入れれば、まだまだ婚活市場は賑やかだ。

包容力を求める男性の矛盾した条件

熟女だからって、包容力があるとは限らない。そこを期待するならば、シングルマザー熟女をターゲットにするほうが確実だ。
しかし婚活男性は、相手の離婚経験は不問でも「(前夫との)子供はナシで」という条件にしている人が多いという。

該当の男性(複数)になぜか尋ねたら「自分の子でないと、どう接していいかわからない」「愛せないかもしれない」とのこと。

結婚するからには離婚はしたくない。だから不安要素は最初から排除するという発想。
これは決してひどい考えではない。むしろ安易に結婚を決めない理性が働く人は、誠実とも言える。

ではシングルマザーの再婚活は絶望的なのかといえば、そんなことはない。元来子供好きな男性もいるし、年齢的に子供を作れない堅実な男性の中には「子連れ歓迎」な人もいる。

「条件ありき」になりがちなのは、婚活ならではの特長だ。仕事関係や趣味などの「リアルな出会い」であれば、条件よりフィーリングや相性から入るので、どんなハンデ(子持ちをハンデと捉えることに疑問はあるが)も許容される可能性が高い。

メリットとデメリットは、相手の解釈次第。自身のスペックや環境が相手にとってデメリットになるならば「ご縁がなかった」だし、メリットならば歓迎されるはずだ。

結婚相手は、両手を広げて「ウェルカム!」と迎えてくれる相手に決めればいい。候補が複数いるならば、一番「ずっと好き」でいられそうな人を選べばいい。

「だって好きなんだもん」という感情のみで、合わないタイプ(いつまでも結婚へと進展しないような相手)と一緒にいられるほど、アラフィフは若くない。恋愛と結婚の違いがわかるくらい、もう私は大人だ。

半世紀も生きてきたあげく、今更キャラ変などできるはずがない。
三つ子の魂百まで。男の求める「熟女らしさ」は皆無かもしれんが、通好みな殿方も絶対にいるはずだ。
そのポリシーは間違っていなかった。それは現在私が再婚(間もなく1周年)で幸せに暮らしていることが証明している。

ただ運命の相手(旦那)に出会うまでは「やっぱこんな私じゃ厳しいかなー」と思うことが多々あった。それは、今思えば完全に私の実践ミスだった(人選ではない)。

「自分らしく」をモットーにするのも良し悪しだと、私は初デートの相手にこぎつけるまでに痛感したのだった。

(つづく)

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