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第二章 食べて生きるための進化とは?-001


第二章 では『食べて生きるための進化とは?』

  1. 手という第二のあごの担い手

  2. 五感の神経ネットワークと直立二足歩行

  3. 雑食が体を進化させる

  4. 狩猟時代のエネルギー供給と人間らしさ

  5. 火の利用による食の軟化

  6. 火の利用による体の大改造

  7. 最初のイノベーションによる不健康問題

  8. 皮肉な現象

  9. プライス博士が見出した事実

  10. 考えるヒント

  11. 新型感染症がもたらした健康意識

について書いていきたいと思います。



1.手という第二のあごの担い手

『私たちが健康であるために、何が大事か?』

と申せば、免疫力を低下させないことにつきます。

『なぜ免疫力を低下させないようにしなければいけないのか?』

と申せば、感染症に罹患してしまうからです。

『免疫力を低下させないために、何が重要か?』

と申せば、いかに体に良い食べ物を選ぶことができるか?
にかかっています。

では健康によい食べ物を選ぶことができるならば、
最終的に何が大切か?

と申せば、しっかりとあごで噛めることなのです。

なぜだと思いますか?

それは、
人間の体は、あごで噛んで食べることを必須条件として進化の過程で、
腸の長さを短くしたのです。(これ重要です)


あごで噛めなくなってしまうと、腸から健康を保つだけのエネルギーを吸収することができなくなってしまうのです。
私たちは、食べるために進化している動物です。
 
この第二章では、私たちの祖先の歴史から食べて生きるための力を、
どのように作り出してきているのか?

について、紐解いていきたいと思います。

私たち人類の祖先である哺乳類は、森林に生息地を設け、
恐竜や大型鳥類などと生活の場を共有していました。

捕食者に狙われないようにするために、
他の多くの動物と同様に夜行性でした。*1

体は10センチ四方の箱に入るくらいの大きさで、
聴覚や臭覚に優れた動物でした。*2,3

私たちの祖先は、大規模な気候変動や地殻変動を何度も乗り越えるなか、
捕食者である恐竜や大型鳥類は絶滅していきました。*4

やがて地上の捕食者から逃れるために、
私たちの祖先の一部は樹上動物になり、
四足動物を四手動物へと進化していきました。


このことによって、
手を使って食べ物(果実や昆虫など)をつかみ取る、
木々の間を飛び移るなど、手をあごの機能の一部へと
組み込んだのです。*5

ペンフィールドという脳科学者は、
現代社会を生きる私たちの脳の役割を、
体のパーツごとに、わかりやすく絵に表示しました。*6

手と顔に占める部分が、
いかに私たちの脳の多くの機能を占めているか?
について、お気づきいただけると思います。

*1R. Boyd and J. B. Silk. How Human Evolved. W W Norton & Co Inc; 3rd edition (2002)「ヒトはどのように進化してきたか」ロバート・ボイド、ジョーン・B・ミルク著、松本晶子、小田亮訳、ミネルヴァ書房、(2011年)

*2 E. F. Allin. Evolution of the mammalian middle ear. Journal of Morphology. (1975)147:403-437.

*3 L. Buck. and R. Axel. A novel multigene family may encode odorant receptor: a molecular basis for odor recognition.Cell. (1991) 65:175-187.

*4R. Potts,.Humanity’s Descent: The Consequences of Ecological Instability. Avon Books. (1986)

*5 K. Koops, W. C. McGrew, and T. Matsuzawa, Do chimpanzees (Pan troglodytes) use cleavers and anvils to fracture Treculia Africana Fruits? Preliminary data on a new form of percussive technology. Primates 51 (2010):175-178; W. C. McGrew, Primatology: advanced ape technology, Current Biology 14(2004): R1046-R1047;D. J. Povinelli, J. E. Reaux, and S .H. Frey, Chimpanzees’ context-dependent tool use provides evidence for separable representations of hand and tool even during active use within peripersonal space. Neuropsychologia 48(2010):243-247.

*6 W. Penfield. and T. Rasmussen. The Cerebral Cortex of Man. MacMillan, New York, (1950)


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