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第六章 恩返しはどこへ行く?_0015

015.人間という社会的動物からの学び

 
私たち人間は、
食べて生きるための多様性を、
もっとも大切に考えている動物です。

それはなぜか?と申せば、
いつ来るかわからない
絶滅の危機を回避する術(すべ)を、
つねに求めているからです。


つい数十年前の世界中の祖先は、
飢餓による栄養失調
栄養失調による免疫力の低下

免疫力の低下による感染症に罹患することは、
抗生物質が発見されるまで、
誰もが避けて通ることのできない共通の大問題でした。
 
このため、多産多死が社会の趨勢だったのです。

つい数十年前から、
一部の先進諸国は飢餓から飽食の時代に
乗り換えることができるようになりました。

このことによって、
まさかの過食による肥満。
肥満による生活習慣病の発生。

生活習慣病によって免疫力が低下し、
免疫力の低下による感染症
の罹患という
構図があらわになって来ました。


やがて先進諸国は、
少子高齢化現象が勃発を始め、
ゆりかごから墓場までという
社会保障が揺らぎ始めたのです。

このような人間の考えた幻想を打ち砕いたのが、
2020年に到来した新型感染症です。


このことによって免疫力の低下した人々や、
感染症対策に注意を払わなかった人々は、
あっという間に自然淘汰の対象として飲み込まれていきました。

世界中のマスコミは、
リアルタイムで世界同時に生じているパンデミックの惨状を、
連日報道したのです。


政府はこのように述べました。


『ワクチンや特効薬のない現状では、撃つ手がありません。
できるだけ感染の恐れを生じないために移動制限にご協力ください。
免疫力が低下しないように、健康に留意してくださ』
と。

 一旦、抗生物質という物質主義に心中を始めた私たちは、
ワクチン開発をひたすら待ち望んだのです。
 

さて私のオフィスは、
この感染症の問題以前から、
一定の人流を制限し(完全アポイント制)、
院内での感染症対策を徹底していました。


このことを知っていた患者は、
移動制限中にも関わらず来院をしてきました。
そしてこのように述べたのです。

スーパーマーケットと先生のところにしか、
行くところがなくなってしまいました。
この機会を利用して早く治療を進めて欲しい
」と。

なんとスマートな考え方を持った人たちなのでしょう。
このような中でも、
自分の活かし方を多様化させているのです。

政府は移動制限を度々行ったにも関わらず、
次第に蔓延化は進み、戦々恐々としてきた患者が、
このように語ったのです。

さんざん免疫力を低下させない方策を練ってきたが、
他にどんなことを思いつけば良いのだろうか?
」と。
 
私は、一人一人から案じられるこの同様の現象を拝見し、
人間という動物には
自然淘汰の対象とならないための危機意識が、
脳の奥底にセットされているではないか?

と思うに至ったのです。

また、私はこの一連の社会問題から、
人間という動物を使った壮大な動物実験が
繰り広げられているように感じたのです。


しかも世界的なパンデミックによって、
各国の国民は移動制限にも関わらず、
一時的にせよ同化をしたのではないか?と、
小さなオフィスから勝手に想像しました。

『これらの意識をもとに、
患者からの依頼を全世界の人たちに
説明できるかもしれない』

という構想が立ち上がって来たのです。

私たちが小さい頃に学校で学んだ
脳内環境をあらたにつむぎ直し、
人生100年社会への健康について語ってみようと、
あらたな意志が生まれたのです 。

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