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未来のサービスを生み出す「プロトタイピング」/八田 晃さん

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第5回目の講義noteです。


八田 晃さんについて

京都にあるデザインコンサルティングファーム「株式会社ソフトディバイス」の代表。https://www.softdevice.co.jp/
ソフトディバイスの強みは、「ヴィジョン策定時や要件定義前の段階での先行デザイン、プロトタイピングを行うこと」であり、オフィスには、プロトタイピング専用のLABまで用意されています。

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今回は、この「プロトタイピング」をテーマにお話しいただきました。

プロトタイピングとは

一般的な定義を調べてみたところ、下記の内容が出てきました。
https://www.otsuka-shokai.co.jp/words/prototyping.html

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つまり、一般的にプロトタイピングとは「試作モデル」を指し、対象ユーザーや解決したい課題(ユーザーへの提供価値)、サービスの内容がある程度固まった上で、作るものだということが分かります。

しかし、八田さんがおっしゃられる「プロトタイピング」は少し異なるもので、現状ベースではなく、まだ見ぬ未来のサービスを考えるために使われます。

一般的なサービスデザインのプロセスでは、「現状をリサーチ→ユーザーや課題を設定→アイデア出し→プロトタイピング」となることが多いですが、八田さんたちは、一番初めからプロトタイピングを行われます。そしてそこから得られたことを基にして、ビジョンや新しいアイデア生み出していくという流れが大きな違いです。


'Predicting the Future by Making’ 「わからないなら作ってしまえ!」

パーソナルコンピュータの父として有名なアラン・ケイの言葉を社是にされているとのことでしたが、八田さんの指すプロトタイピングは、まさにこの言葉を体現しています。未来のためのサービスは、どれだけ現状を見つめ、今の課題を解決しようとしても、生まれることはない。八田さんのお話で一番、響いた内容でした。


プロトタイピングの種類

ソフトディバイスで行われるプロトタイピングには、いくつかの種類があります。

● ペーパープロトタイピング:紙に画面を書き込んだりすることで、最小限のコストで作ってみる方法
● ハードウェアでのプロトタイピング:見た目は拘らず、MVP(必要最小限の機能だけ)を組み込んだものを作る方法
● アクティングアウト:サービス利用場面などを演劇して再現する方法

どの方法も素早く形にできる&実際に体験できるということを大切にされています。このようなプロトタイプを作るメリットとして、顧客の中のノンデザイナーの方々も含めて、みんなが参加しながら、具体的な議論を進めることができるということを挙げられていました。

これは確かに大切ですよね〜〜!
私もアプリの新規サービスを開発したことがありますが、体験できるものがない状態で開発を進めていくと、ITやエンジニアリングについて理解できている人しかイメージできません。そのため、現場をよく知る営業部門の人やUIデザイナーが理解できないまま話が進んでしまい、リリースした際に現場の人たちが「なんかこれ求めているものと違う・・・」といったことが起きていました。
しかし、八田さんがおっしゃってきたような「目に見えて体験できるプロトタイプ」があれば、そういったことは回避されたはずです。
プロトタイピングは、未来を形作るという文脈だけでなく、サービスデザインのプロセスに、多様なステークホルダーを巻き込むという意味でも、とても重要なことなのだと感じました。

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