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税理士vs経営コンサルの議論は不毛


はじめに

こんにちは、島田(@mshimada_tax)です。

個人的に感じているのは「税理士と経営コンサルは混ぜるな危険」という風潮です。

税理士は経営コンサルを目の敵にしているとか、その逆もまたしかり。

税理士報酬は薄利多売だから経営コンサルにシフトしないと生き残れない、というメッセージもよく見かけますね。

でも、そもそも税理士と経営コンサルって区別する必要があるのでしょうか。

今回はそんな疑問を掘っていきます。

それぞれ何者なのか

このテーマを扱うにあたっては、まず両者が何者かを考えなければいけません。

税理士とは

まずは税理士から。

税理士は国家資格であり、その使命、権利や義務、罰則などは税理士法に規定されています。

税理士業として最も分かりやすいのは、税務顧問ですね。

個人事業主や法人の経理、必要な税務届出書や確定申告書の作成と提出が代表的な業務です。

ちなみに、税理士法では税理士の業務は3つに区分されています。

・税務代理(納税者に代わって申告や陳述などをする行為)
・税務書類の作成
・税務相談

です。

これらの業務は無償独占といって、「たとえ無償であっても税理士以外が他人にその業務をしてはいけない」という決まりになっています。

もしかしたら、この無償独占によって税務のアドバイスをしたい経営コンサルタントの業務の幅を制限していることが、両者の間に溝を生んでいるのかもしれません(空想です)。

経営コンサルとは

経営コンサルタントは、その職位を定める法律がないので、ChatGPTに聞いてみました。

経営コンサルタントは、企業や組織が経営上の課題や機会を克服し、業績を向上させるための支援を行う専門家です。彼らは通常、経営戦略、組織構造、業務プロセス、市場戦略、財務管理、リーダーシップ開発など、幅広い領域にわたるアドバイスやサポートを提供します。

経営コンサルタントの役割は、企業の現状を評価し、問題点を特定して、改善策を提案することです。また、戦略の策定や実行に関する支援も行います。経営コンサルタントは、クライアント企業の目標やニーズに応じて、戦略の立案から実装、モニタリングまで、幅広い段階で活動します。

Chat GPTより

とまあ説明は長いのですが、要するに経営上の課題を解決するのが役割ですね。

それがカネ、ヒト、モノの問題と多岐にわたっていて、経営コンサルの活躍の幅は広いような印象を持ちます。

なので一言で経営コンサルといっても、それぞれ専門分野がたくさんあります。

財務ひとつとっても、融資コンサル、資金繰り改善コンサル、経理育成コンサル、などなど。

売上改善も、Webマーケティングコンサル、法人営業コンサル、単価アップコンサル、などなど。

両者を区別する必要はない

ここまで両者の違いをみてきたわけですが、これはあくまで制度上の話。

クライアント(税理士や経営コンサルタントのお客様)にとってみれば、この違いは全く意味のないものです。

と、ここでもう一度税理士の役割を思い出してみると。

税理士は納税者が適正な申告をしたり、無駄な課税を避けたりするために、経理の効率化や税務判断の助言をしています。

で、税金も経営のカネの問題の一部ですよね。

経営をしていなければその経営(事業)で発生する税金の問題は発生しないので。

なので、税理士も経営に関するコンサルティング(助言や指導)を行っているということになります。

つまり、私が言いたいのは、税理士も経営コンサルタントの一部だということです。

経営者が直面する経営課題のうち、税金に関する部分は税理士がやっているだけです。

そして、たまたま日本の税理士法では税理士しかやっていはいけない、と決められているだけなんですね。

図に表すとこんな感じかと。

税務が法律で税理士にしか認められていないから税理士が偉い、ということはありません。

そんなことを言い始めたら、資格を持つ人はみんな誰かより偉いということになってしまいます。

お客様はどっちだっていい

じゃあ仕事の価値を決めるのは誰かというと、それはお客様です。

お客様が10万円の仕事だと思えば10万円払うし、1円億の仕事だと思えば1億円払っていただけます。

それが仕事の価値だと思います。

正直、お客様は自分の経営課題を解決してくれるなら誰だっていいんです。

早く解決しないと倒産するような事態なら尚更です。

税務に関しては法律の制限がありますが、税務だからお客様が高い報酬を払ってくれるという保証もありません。

お客様がより価値を感じていただけるのは、より多くの経営課題を早急にかつ確実に解決してもらえることです。

だとするなら、税理士と経営コンサルタントが手を組んでお客様に貢献することでよりよい価値提供ができるのではないでしょうか。

なので、税理士と経営コンサルタントが優劣を議論していること自体がナンセンスで、その行為自体がそれぞれの価値を下げているのではないかと。

そんな時間があったらさっさとより多くのお客様の課題を解決しろ、という声が聞こえてきそうです。

終わりに

実際、私も税務以外の経営支援をしていますが、税理士だからできている仕事ではありません。

ですし、私の周りには優秀な経営コンサルタントの方々がたくさんいて、一緒に仕事ができるのが恵まれていると感じています。

税理士と経営コンサルタントがやるべきことは対立や優劣の付け合いではありません。

世の中のお客様に最大限の価値が提供できるように双方のネットワークを作っておくが大切です。

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