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プレッツェル / しまだ

始まりの話をしよう
君を見つけたときの話を

いつも教室のどこからか
聞こえていた君の声
あまりに澄んだ声で 僕の耳を流れて消えてった

初めて電話をしたあの夜
まだおぼろげだった君の顔
聞きなれた綺麗な声で
光って見えていた君の
光らないところを知った
僕と同じ匂いを見つけたんだ
午前3時の「おやすみ」


これからの話をしよう
君がうなずいてからの話を

いつも君がいることに
慣れてしまいそうだけど
あまりに君が面白いから きっと大丈夫だ

初めて抱き合ったあの夜
まだ知らなかった柔らかさ
見慣れたかたちが今
ああ僕に写し取られるよう
僕とは違ったから
君のかたちが分かったんだ
午前3時に起こったこと

君の綺麗な茶色の髪
まぶたの裏から消せそうにないな

あの雪が降った日
君の茶色の髪が映えていた日

まるで違うふたりが
いっしょに生きることをえらんだよ

笑えるよね
好きの気持ちさえ
ちょうど反対向きなのがさ

山なりじゃないと届かないなって
斜め45度で投げた白いボール

ゆっくりのボールだったから
私にも捕れたんだ












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