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021.読書日記/シリーズ第4作「グレイラットの殺人」

イギリスの作家M・W・クレイヴンのワシントン・ポーシリーズの第4作、「グレイラットの殺人」を読んだ。

M・W・クレイヴンのワシントン・ポーシリーズ
「ストーンサークルの殺人」
「ブラックサマーの殺人」
「キュレーターの殺人」
「グレイラットの殺人」

2022年年末の週刊文春ミステリーベスト10に3作目の「キュレーターの殺人」が入ってたので、去年(2023年)に1作目から3作目まで読んだ(その時は、「面白かったけど、まぁまぁかな」という感想だった。仕事でモヤモヤしていて読書に集中できなかった時期だった)。
軍隊上がりのオジサン刑事ポーと天才的頭脳を持つ純粋培養のお嬢ちゃん分析官ティリー・ブラッドショーのコンビはいい感じ。それぞれにしかできない方法や行動で、お互い補完しながら捜査を進展させていくので、バディであることの重要性が強調される。
4作目「グレイラットの殺人」は、2023年のミステリーベスト10には入らず、11位だった。

お話は、ショーン・コネリーやダニエル・クレイグ、ロジャー・ムーアなどの俳優たち(みな、映画「007」でジェームズボンド役をしている)のお面をつけた銀行強盗グループの、その強盗中に行われた仲間内の殺人からスタート。なんだかよく飲み込めず、銀行の貸金庫室に置かれたラットの置物にもハテナ?と思いながらページをめくると、今度は裁判所。民事裁判の被告人になったポーと、その弁護役を買ってでたティリーが登場する。その後二人は、MI5に拉致られて、その上、FBIも登場して、先の銀行強盗の殺人事件捜査に巻き込まれ…と、この辺まで読んで、なんか、映画っぽい!映画化されることを意識して書いてるんか!?とちょっと思ってしまいましたw 

ジェームズ・ボンド大集合の貸金庫

昭和感満載で超アナログのポーと世事に疎いホワイトハッカーなティリー、それにFBI捜査官のメロディー・リー(「キュレーターの殺人」に声だけ登場)と裏切り者かもしれないMI5のハンナ・フィンチで捜査を進めていく。次々話が進んでいくし、飽きさせないんだけど、あれ、もうこれから解決に進んでいくのかな?と思い始めたのに、まだ100ページ以上残していて、なかなかラストに辿り着かない長編だった。映画化は難しい?
著者は軍隊にいたとのことなので、その経験が十分生かされてるように思う。戦争と深く関わる動機については「テラ・アルタの憎悪」にも通じるような気もするし、「お前か!」×2な真犯人もなるほどな、と言う感じで面白く読んだ。→詳細を知らせずに感想を書くのが難しいw 

「ストーンサークルの殺人」が英国推理作家協会賞の最優秀長編賞(ゴールド・ダガー)受賞で、この「グレイラットの殺人」がイアン・フレミング・スティール・ダガーを取っている。今、生きていて現代を書いている作家の本では面白い。ポーとティリーだけでなく、同僚など周りの人々の関係性などの変化も楽しめるので、読むなら第一作から順に読むのがおすすめ。シリーズ5作目の「The Botanist(植物学者)」が英米で出版されているとのことで、この翻訳本も楽しみ。

しおりは付箋を使ってます

そういえば、しおりにポストイットの付箋を使いはじめた。何枚かカバーの見返しに貼っておいて、気になるところにも付けて、とても便利。もったいないので何回か使い回している。

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