「宇宙留学」子どもの成長を信じる覚悟
息子は「宇宙留学」で、種子島の海沿いの小学校に留学中です。
そもそも「宇宙留学」とは何か。いわゆる山村留学制度の南種子町独自の呼称であり、日本で一番留学生の数が多いそうです。
山村留学とは、過疎地域の活性化施策のひとつであり、子どもにとっては山や川、海といった大自然の体験や地域の関わりから学びを得られるものです。
その方式には様々あります。
その地域の協力者(里親)に1年間子どもを預ける「里親留学」
家族とともに移住する「家族留学」
親戚の家から通う「親戚留学」
我が家は「家族留学」で、家族全員で1年間種子島に移住しています。事務局にご用意いただいた住居をお借りして、その地域のコミュニティにお世話になりながら、子どもだけでなく親の私たちも、初めての体験を色々しながら学んでいます。関係する方々には感謝しかありません。
今回は、特に「里親留学」に際して伺った教育委員長のお話に感動した話です。
親と子で種子島に来島する、1年間の宇宙留学の始まりに、「実親(じつおや)研修」といって、集まった49人の宇宙留学生の実親に、心構えをお伝えいただく機会がありました。
そこで伝えられたのは、山村留学に関係する方々の
覚悟
です。
子どもたちは、1ヶ月くらいでほぼ間違いなく「ホームシック」にかかるそうです。そりゃそうですよね。10歳前後(早けりゃ6歳)の小•中学生が、今まで我儘言いながら甘えて過ごしてきた実親の元を離れて、他人である里親(留学中は、「お父さん」「お母さん)と呼ぶ)と暮らすわけです。強制的に社会性を身に付ける必要に迫られますが、それは未発達な子どもたちにとっては、苦悩と苦闘との日々です。宿題もやらずに「ゲームやりたい!」とか、「こんなの食べたくない」!」とか言えないわけです💦
そうすると、子どもたちに何が起きるかというと、中にはウソをついたり、不平不満を実親に訴えたりするようになる。離島で空港からも車で1時間、すぐに逃げ出すことができるわけもなく、子どもは子どもなりに、すべきことと自身の欲求の矛盾(認知的不協和)をなんとか解消しようと試みるようです。
そこで問われるのが、「覚悟」です。誰の??それは、実親であり、里親であり、先生であり、事務局であり、関係者全員の、です。
教育委員長のお話ですごい!と思ったのは、その子どものウソや不平不満を、必要なこととして受け入れて飲み込む度量の大きさ。そのプロセスを経ることで、1年後に間違いなく大きく成長しているという自信。南種子町でも、宇宙留学26年間の紆余曲折があったと思います。その中で得られた答えが「覚悟」。
もちろん、送り出す実親の覚悟も求められます。我が子が落ち込もうが帰りたいと泣き叫ぼうが、決めたことを貫き通す。子どもの言葉を鵜呑みにせず、現地で世話をしてくれている里親や先生方を信じきる。
そして、その間に入って調整する学校の先生や連絡協議会事務局の方々の覚悟。
これらのことを、30分間、一度も手元の資料に目を落とすことなく、実親一人ひとりの目を見て自身の言葉で熱心に話す教育委員長。
普段の教育シーンで、親も子も周りの方々も、ここまでの覚悟をもって子どもたちと成長しようとしているでしょうか。ちょっと考えさせられました。
以上です。
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