とと

読んだり書いたりが好きです。 書くことを怠けていたので、もうちょっと頑張ります。

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最近の記事

日常がグレーすぎるので色いろ試してみた

「青いメガネをかけると不眠症が治る」とかなんとか書いてある本を読んで、嘘だろうと思いつつ、ついやってしまうのが私という生き物。  どうにも神経がたかぶって、寝つきに1時間もかかるような日が続いていたとき、そんな嘘みたいな文章をふと思い出してプチプラブルーレンズ眼鏡でだらだらしていたら5分で入眠できた。  日課のランニングがいつの間にかお散歩しかできなくなったのはなぜだろうと思っていたとき、「下半身のチャクラの色は赤です」なぞとこれまた嘘くさい文面を目にした私は、翌日、赤い

    • 『夏物語』川上未映子 感想 まとめ

       まだ本を読むというよりは、本を「見る」みたいな感覚のときに、それはただ恰好をつけたかっただけなのかもしれないし、テレビに映った川上未映子さんが美しかっただけなのかもしれないが、『乳と卵』を読んだ記憶がある。  読んだ記憶があると書いておきながら、読んだ内容をさっぱり覚えていないということは、やっぱり僕はあの本を「見た」だけなのだろうと思う。  そしてこの『夏物語』という本に出会って、六百五十ページという大作を読破して、感想という感想を持てないまま、現在、感想をしたためよう

      • 『海が走るエンドロール』たらちねジョン 感想まとめレビュー 映画愛あふれるおばあちゃん映画監督漫画‼︎

         読書記録として漫画を入れるかどうか迷っていたが、あまりにも素晴らしい作品と出会ったので執筆。  話題になっていることは知っていたので、気になってはいたが、漫画大賞ノミネートで拍車がかかったのか、書店でも数冊しか残っていなかったので購入。  結果、ゾクゾクが止まらなかった。  以下、『海が走るエンドロール』の簡単なあらすじ。  今春、夫を亡くした茅野うみ子(65)は、夫と映画を観ることが大好きだった。  夫との思い出を辿るべく、ビデオデッキを触ってみたものの、残念ながらそれ

        • 『新釈走れメロス他四篇』森見登美彦 感想・まとめ・レビュー 古典はいつだって新作であり続ける

           森見登美彦先生は『夜は短し歩けよ乙女』を読んでから、その文体と世界観に惹かれ、本屋さんでは「も」の棚を見かけては、知らず知らずのうちに「森見登美彦」を探すほど、今ではすっかりファンである。  ファンといっても『夜は短し歩けよ乙女』『四畳半神話大系』『有頂天家族』『四畳半タイムマシンブルース』『ペンギンハイウェイ』『夜行』あたりの有名どころしか読めていないので、今回はこの『新釈走れメロス』に白羽の矢が立った。  本作は中島敦の『山月記』、芥川龍之介の『藪の中』、太宰治の『走

        日常がグレーすぎるので色いろ試してみた

        • 『夏物語』川上未映子 感想 まとめ

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          『同志少女よ敵を撃て』逢坂冬馬 感想 まとめ 女性にこそ読んでもらいたい戦争歴史小説の傑作

          『同志少女よ敵を撃て』読了。 「年に一度は戦争物の作品に触れる」という個人的な目標をひそかに持っているが、今年は早くもそれを達成。  なんとも表現しえない読後感が、未だ顕在している。  舞台は1940年代、第二次世界大戦時、独ソ戦。  読み手としての知識不足が甚だ申し訳なく思うが、私のように「独ソ戦」と聞いて思い浮かべることがほとんどなくとも、問題なく読み進められる。  というのは、文中で、これらの時代背景を懇切丁寧に説明がなされているから(これらの理解に時間がかかることに

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          『本のエンドロール』安藤祐介 感想 まとめ 「本は紙か電子書籍か」の決着がついたかもしれない

          『本のエンドロール』読了したので感想を。    この本を手にしたのは、確か、電子書籍デバイスに対して懐疑的になっていた頃のことだったと思う。  帯に「私はこれからも紙の本を読み続けます」といった、書店員たちの強いメッセージが記されていたのが印象的だったのを覚えている。  物語はとある印刷会社の営業マン、浦本学が、就職説明で学生に対し「印刷会社はメーカーです」と言い放つ場面からはじまる。  それに対し、営業の先輩である仲井戸光二は「目の前の仕事を毎日、手違いなく終わらせること

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          『残像に口紅を』筒井康隆 感想まとめ

          『残像に口紅を』読み終えたので感想を。  一般的ないわゆる物語的な小説とは違い「言葉遊びのおもしろさ」を久しぶりに感じられた一冊。  圧倒的な語彙力、そして作家として物語を作り続け、且つのぼりつめた人間にこそしたためられる天才的な作品。  この物語を説明するのは至って簡単で、「世界から『あ』が消えます」といった具合に、ページをめくるにつれて、小説中の言葉が次々に消滅していく。  「文字が一文字ずつ消えていく」  たったこれだけなのに、作中で起こっていることが強烈的で、慈悲

          『残像に口紅を』筒井康隆 感想まとめ