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好調なひとの運は伝染する

 勝負を決めるのは運か実力か、それとも気合でしょうか。
実力がなければ勝ち続けることはできないと思いますが、最後に勝負を決めるは気合かもしれない、と感じることもあるかと思います。ニュースの見出しにも気迫、という言葉があると納得できるものがあるでしょう。

こちらは勝負ではないですが。。

 勝率という点で、例えば Jリーグで優勝するには75%くらい必要らしいので、日々の鍛錬、努力によって培った実力なしに優勝を目指すことはできないでしょう。
 実力が重要なのは間違いないところですが、スポーツや格闘技の試合を観戦しているとその場の雰囲気や試合の流れを感じると思います。そうした流れがその日一日だけの場合もあれば、1週間、あるいはもう少し長く続くこともあるかもしれません。そのような良い流れが個人のプレーや雰囲気づくりによって生まれることもあるでしょう。
 こうした好調、不調の波、流れを研究したコーネル大学の話があります。

 コーネル大学ののギロビッチ博士らは、バスケットボールのショットを調べ、成功とミスの並びは全体としてランダムであることを示し、「試合の流れは都市伝説にすぎない」と主張しました。

脳はなにげに不公平 池谷裕二

 もしも好調や不調、試合の流れがランダムだとしたら、実力が同じくらいのチーム同士が試合をすると、その勝率も確率と統計で割り出せそうです。
 これに対して、別のレポートも出ています。

 ところがマックスブランク研究所のラーブ博士らは、バレーボールの試合データを個人別に調べ、半数の選手については好不調はランダムと区別がつかないが、残りの半数では成功とミスの連鎖がランダムではないことを証明します。つまり、「波」に乗るか乗らないかは、その選手のタイプによるというわけです。
 面白いことに、個人の「流れ」は当人だけでなくチームメイトにも感染するようです。

上掲書

 チームでプレイしているとチームメイトの動きをなんとなく予想できる、ということはよくあると思います。特に合図を送ったりせず、またチームメイトを見なくてもうまくパスを出せたりするのは特に驚くことではないでしょう。このような一体感は個人競技では感じられないものかと思います。
 そして練習や試合を通じて形成されるチームの一体感が生み出すものは私たちが考えているよりも大きいようです。

 カリフォルニア大学のボック博士らは昨年、初試合以上連続安打を記録中の「ノった」選手がいるチlムは、仲間の平均安打率も上昇することを統計的に示しました。ボック博士らは、このように運の伝染する理由を、「ヒトには自然と他人の動きを真似るクセがあるからだろう」と説明しています。
 つまり、チームには、なんらかの「雰囲気」が、確かに存在するということです。となれば、気合の入った仲間に近づき「ご利益」のお裾分けをもらうことは、自分の運気を高めるための、理にかなった作戦だといえそうです。

上掲書

 人にも流れやリズムのようなものがあります。そして共感する能力も持っています。もしも近くに好調なひとがいたら試してみていいかもしれません。

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