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さあ、気ちがいになりなさい/フレドリック・ブラウン;星 新一/訳〈早川書房〉②

1)ノック“Knock”

【P-89】[上l-3]「地球上で最後に残った男が、ただひとり部屋のなかにすわっていた。すると、ドアにノックを音が……」

 想像力を膨らませる、無限に続く物語。さあ、想像しよう。ノックをしたのは誰だろうか?


2)ユーディの原理“The Yehudi Prieciple”

【P-113】[下l-6]「わかるとも。ひとつのことを除いてはだ。そもそも、そのユーディってだれのことだ」

 世紀の大発明、「自動制御自己暗示式副震動性超加速装置」。存在しない小人が、あらゆることを実現してくれる。では、『あらゆること』とは? その範囲は、きっと使い手の意識が決める。人は信じさえすれば、どんなことであっても実現できるはずだ。間違いない。

 私は頭がおかしくかりかかっている。


3)シリウス・ゼロ“Nothing Sirius”

【P-150】[上l-10]おまえには、やつの自尊心と威厳とが、崩れはじめているのがわからないかな

 シリウス・ゼロ。シリアス・ゼロ。一度でも己のうちにある価値観のすべてを超越する、圧倒的な、馬鹿馬鹿しい、想像力の臨界点を超える世界を垣間見てしまった人間は、崩壊する。
 何度でも崩壊しよう。また始めるために、さらなる高みを目指して────。


           〈続〉

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