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2023年11月の記事一覧

詩「ひとりくらし」

詩「ひとりくらし」

あのひとのちかくに
ひとりでくらしたら

雪の日とか 霙の日とか
あそびにいらしてくださいと
お手紙かいてまってます
家具のこのみおしえてください
あたたかな色をもとめて
お皿 絨毯 カーテン
佳きものをとりよせます

あのひとのちかくに
ひとりでくらしたら

やきたてパンに 淹れたて珈琲
あのひととわたしのすきな音楽
レコードノイズはほかげのゆらぎ
時計はないけどいいですか
部屋をぽかぽかあたた

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詩「あふれる」

詩「あふれる」

おはようございます
会いたいです、とっても
あのう、だいすきです
未来がみえなくなるほど
あなたにくるっています
あなたの笑顔と瞳、ちしりょう
こいしいのは季節のせいですか

おひるごいっしょしませんか
やきたてのパンもあります
しゅとれんがいいですか
今のあなたにあいたいという夢
おきにいりのスカーフまいて
ふゆの星座のしたであいませんか
M45のあたりを旅しませんか

夢のなかでもずっと
あな

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詩 「瞳」

詩 「瞳」

あなたの瞳の慈悲深く
純度の高い寥寥たるや
エメラルド原石の静謐で輝いている
白鯨のお腹 オリーブの木陰 G線の上
時代と地層を越えて視線を交わす幸せは
シルクロードの蜻蛉玉も
きっと誰かの熱い息吹であるという
大きな確信を抱かせる

時空の奇妙な重なりは
山躑躅の十二単のようで
遥か海底より歌と希少糖を掬い取り
私に生きている体感を与えた
「私はたしかに生きている」という事実は
雹のキリリとした

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詩 「過日の秋」

詩 「過日の秋」

教会の鐘がらんらんと鳴る
清い夜の底に私の心臓が潤う
足どり軽く白い息、ああ、嬉しいな
走れど走れど私の肩は幸せの風を切る
なんだこの音、この祝福の音
私の悦びをこの世界いっぱいに
知らしめているんだろう

寂しすぎた秋が終わるとき
また初めて見るあなたと出逢った
とても生き生き高揚して、私の赤面を誘うの
その純朴な瞳の奥に私は吸われてしまうよ
あなたに差し上げた高カカオチョコレートの
苦い演出に

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詩 「メモ」

詩 「メモ」

いつからか闇夜の真ん中で
ひとり擦りむいた膝をずっと抱えている
それはもう自らの体温を逃すまいと必死

耳を塞いだイヤホンよ
私と世界を引き裂いてくれ
私と世界が繋がる意味はもうないから

あの人の笑顔も優しい声も
結末を迎えた今はただの因子になった
甘美な思い出さえも哀愁の今に帰着する
あまりにも必然の絶望

私はあなたがこれからも生きて
笑顔でいてくれることを願うしかない
近くで隣で目の前でそ

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詩 「枯葉のようで」

詩 「枯葉のようで」

私の全てが切なくなって
枯葉のようで
あとは掃いて捨てられるのだろうという
悲哀

私の全てがオカリナ吹いて
怪鳥のようで
あとは風を切って飛ぼうという
欺瞞

私の全てが眠たくなって
土を掘る人のようで
あとは体温を逃がそうという
孤独

私の全てがレンズを舐めて
氷のようで
あとは舌に張り付くかという
苦悩

詩 「いまの私」

詩 「いまの私」

擦れた目つき嘘つきの笑顔
大丈夫と思いやりを忘れた私
尊厳ある世界を散々に滅多刺し
何にも照されぬ罪作りな恥さらし
それでもあなたに全てを見て欲しい

これも立派な暴力でしょうか?
答えはとっくに出ているのです „Ja“
あなたがくれた無条件の愛は常に働きかける
どうか、どうか朽ちないで
私の中には悪魔が棲んでいる

自らの恐ろしさに木枯らしが吹く
憎悪と嫌悪とぐろ巻く悪寒
私は何もかもを諦める予

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詩 「白昼夢」

詩 「白昼夢」

「死にたい」も「生きたい」も
「愛したい」も「会いたい」も
私という星屑から発せられた大事なシグナル
それらの明滅は私を白昼夢へと誘う
心地よい波音が砂の城を崩すように
そこで私はあなたと微笑みを交換する
不思議なくらい当然の出来事で
陽だまりのようで
泡立ったホットミルクのような
絶品な夢

あなたが生きている世界の美しさを
散りゆく銀杏が力いっぱい肯定している
あらゆる否定も受け付けない
私は

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詩 「慈雨」

詩 「慈雨」

こんなにも優しく気丈な慈雨が
幾重もの大地に注いでいるのに
わたしの心は渇き切っている
両手を天に伸ばす
私は一体どこにいる?
枯渇から生まれる豊かな倍音もあるのだ
私は終わりのほうの炭

琥珀色の一杯のアイスティーで
あなたの信号を待っている
いつでも受信ができるよう
私は訓練が好きになった
あなたの全てを愛として
私は真っ黒な泥に足をとられる
前進も後退も選択できない
決断のたびに私の命はすり

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詩 「無題」

詩 「無題」

何もかもを手放したの?
本当に諦めてしまったの?
真実がそうであれば

食いしばりすり減った歯も
手櫛のはての脱毛も
口角炎の血の味も

全部私の体だ
もう付き合いきれぬ私の体だ
真実が誠実とは限らぬ

誰にも理解されない
理解されてたまるか
君との間の壁は高いぞ

穏便の生に波乱の死
氷のような羨望の眼差し
焔のような甘受の眼差し

さあ何もかもを忘れよう
今日から、いざ出発だ
ボロボロの自らに

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詩 「生存」

詩 「生存」

幸福と不幸のぼかし
よくわからなくなつてしまつたよ
すつかり定規をなくしてね
ただあなたの体積いつぱいに
幸せが溢れますやうに
あなたの言葉に報ひたい
「生存せよ」と云ふ言葉

天使が通つた喫茶店
ホツトミルクの泡にのまれて
両耳を塞がれるは快感である
私は寝てゐる間のみ
愛の送受信が可能なのだ
幸せとあなたは両立できない
けれど生存こそが全てである

道なき道に旋風起こる
私は立ちすくんでしまつ

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