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Polygamy〜最期の告白〜 観劇レポ(ネタバレあり)

『星降る夜と3つ目の殺人』で秋枝さんを知って、クランティに引き続き観劇してきました!
めっちゃいい舞台だったので、自分の備忘録的にレポ書きます。

1回目はアイビー、2回目はミオソティスを見させていただきました。
どちらも同じ脚本なのにこんなに違うのかと、楽しく見ることができました。

公式サイト、関連Twitter以上のネタバレが含まれます!

ストーリーについて

物語は世界的な彫刻家である日向太郎が死んだことで始まる。
妻がいながら、何人もの女性と関わってきた太郎。
妻は太郎との縁を切らせるため、愛人を呼び集める。
太郎との関係、遺産を清算しようとするが…。

集まったのは6人。
妻 日向月子
舞踏家 火坂陽子
化学者 木村聡美
弟子 金山茜
そして、妹である土屋真子

突然現れた土屋真子はイタコと名乗り、太郎と魂を呼び寄せて、問いかけ始める。

「教えろ、俺は、どんな人間だった?」

日向太郎に関わっていたということぐらいしか共通点がない5人が、土屋真子を通して太郎との関係、愛を見つめ直す。

そんな物語になっていました。
価値観が全く違う5人がお互いの話を聞きながら、自分を見つめ直す会話劇になっていました。

愛が大きなテーマとなっているので、下ネタの話題が多くあるのですがただ下品ではなかったのが脚本の凄さだと思いました。
その話題を通して価値観や愛し方が浮き彫りになっていくところがすごいなぁと思いながら見ていました。

所々、ふふと笑えるシーンもあり、重たいテーマでありながらも楽しく見ることができました。
100分があっという間なぐらいでした!

キャラクターと演技について

キャラクターと演技と役者さんたちについて語らせてください。笑

水落マリア アイビー/ミオソティス 金澤萌恵さん

金澤さんの演技が流石すぎる。
聖母と正反対の矛盾する女性を演じるのが凄過ぎる。
綺麗事ばっかりの聖母じゃなくて、等身大の女性の1面があるところがめっちゃリアルに感じた。

後半の「マリア様はマリア様になろうとしない(セリフうろ覚えですみません)」ってセリフがすごくすとんと落ちてくる。
そうだよなと納得してしまう脚本がすごい。
マリアは綺麗事は綺麗事だってわかってる。

マリアの愛し方はきっと自分がなりたかった綺麗事を信じられる女性を求められて、それに応えることだったのかなーと思いました。
なんとなくマザーテレサの「言葉は思考になる」みたいな格言を思い出しました。
きっとマリアは聡い女性なので自分の矛盾とか綺麗事ばっかりっていうことにも気づいているんだろうなって思います。

本名に運命を感じてしまうー!

火坂陽子 アイビー 神馬彩さん ミオソティス マーシャルクレア風見さん

エロかっこいいお姉様!!!
前半は自信に満ちて、自分の愛も太郎からの愛も信じている人。
でもそこから他の女性たちの価値観、思いを聞いていって新しい考え方に触れて…。

未知なものに出会ったことで自分が揺らいでいる姿がリアルですごかったです。そこから、自分から未知を知ろうとしていって、自分の再構築をしていく姿がやっぱりかっこいい。
女性のレジリエンスを体現している人。

神馬さんはほんとにエネルギッシュな舞踏家の雰囲気でした。
自分のやりたいことを相応の努力でやってきた裏付けがある自信がすごいです。

マーシャルクレア風見さんはちょっとアンダーグラウンドを感じさせるすいもあまいも噛み分けられそうなキャラクター。

お二人ともそこからのギャップがすごくて、後半の自分の愛の自信を失って、いろんな愛はあることを知ってからがすごい。
自分の未知なことに素直に、向き合っていける強さを感じました。

日向月子 アイビー たにかわ夕喜さん ミオソティス 岡本温子さん

とにかく奥様が美しい…!
自分に厳しく、他人にも厳しい奥様。
能力は高くて、厳しくできてしまって奥様はどんどん孤独になっていってしまったのかなぁと感じました。
女性議員という男社会で生き抜く奥様の強さを感じました。

太郎に振り回されて、激昂する奥様もお美しいこと…!
それまで気品に満ちた態度を取られていた奥様が「コノヤロー!」と向かっていくところは、ギャップがすごかったです。

冷静で自信に満ちた女王様なのかと思いきや、言いたいことは言える激情家な奥様。
そこからの太郎との話で意地になってしまっていた部分が溶けていって、しおらしい乙女なモードで「太郎ちゃん」と呟くシーンはたまりません。

強い奥様だけど、太郎とだけは弱さを共有できていた関係なのかなと思いました。
強さも弱さも、いろんなギャップがある奥様が素敵でした!

たにかわさんのオフショルダーのドレス素敵過ぎる…!
たにかわさんの殺意高めな言い方がめっちゃ好きです!
冷酷な女性議員の雰囲気が強い奥様。
正妻として他の愛人たちへの冷酷な態度がどんどん崩れていく演技が素敵でした。
椅子に座っている姿すらお美しい・・・!

個人的にカーテンコールで隣にいた秋枝さんを見て「何やってるの」みたいな顔がたまりませんでした。笑

岡本さんは笑顔なのに言葉に怒気を乗せて、なのに語尾だけ奥様になる言い方がすごかった!
たにかわさんより気品があるお上品な奥様な雰囲気。
そこからの太郎に激昂し、太郎に「好きにして」というシーンの表情の移り変わりが素敵でした。
カーテンコールで笑っちゃって顔を背けるところが可愛かったです。笑

木村聡美 アイビー ゆうこさん ミオソティス 福田晴香さん

もうキャラが好き。
こういう突き抜けた変人キャラクターは見ていてとっても楽しいです。
分子レベルで物事を見ることができる科学者の人。

普通の人にできることができなくて、人並みに悩んでいるところが可愛くて、等身大のリアルさを感じてしまう。
太郎に救われて、次は火坂に愛を分け与える立場になっている。

普通の人にはなれないけど、木村としての素敵な人生を歩んでいるところが素敵だなと感じてしまいました。

ゆうこさんの木村は浮世を離れてしまった変人っぷりが面白いです。
分子への愛を語るシーンは「何を言っているのだろう?」と思いつつ、楽しく見ることができました。
しっとりと愛を語るシーンの表情が素敵でした。
自分のやり方に木村はとっても満足していて、だから理解を求めずにいられるのかなと思いました。

福田さんの木村はゆうこさんの木村よりも自分にも愛にも自信がなくて、影を感じさせる狂人だなと感じました。
おどおどした雰囲気がとっても可愛かったです。
変人と天才はきっと紙一重であるんだろうなと。

いろんなことに自信がないけど、太郎との時間はきっと木村にとって何よりも大切なものだったんだろうなぁと太郎との思い出を語るシーンで思いました。

金山茜 アイビー 木嶋愛理奈さん ミオソティス 石松千明さん

自分が何を本当に求めているのか向き合った人。
金山は太郎への思いが一番変わった人なのかなと思います。
今まで弟子としてある意味崇拝してたけど、その気持ちに向き合っていったのかなと感じました。
向き合った結果、太郎に自分の欲しいものをしっかり伝えているところに金山の強さを感じます。

奥様とぶつかったり、わからないことをわからないと言ったり元々強い人ではあったけど、一皮剥けた感じがしました。

木嶋さんの金山は、一番弟子としての矜持を感じさせる雰囲気でした。
奥様にしっかり抗議したり、太郎の問いかけに答えたり一番弟子としての自覚を持って、自分の仕事ができているなと思いました。

だけど、一番弟子としての矜持すらも幻だったと知って、そこからの自分の願いに向き合っていく姿がかっこいいなぁと思いました。
「草木に水をやりなさい」という太郎の遺言を、この金山ならきっとできると感じました。

石松さんの金山は、第一印象はキャンキャン吠える子犬でした。

アイビーとミオソティスで一番違いを感じたキャラクターと演技でした。
純真無垢だった子犬が真実を知って、自分の思いを打ち砕かれて、それでも自分に向き合っていく姿がかっこいいなぁとやっぱり思いました。

金山としてのベースのキャラクターはかなり違うように感じたけど、自分に向き合っていく強さは共通していて表現の違いがとっても興味深かったです。

土屋真子/日向太郎 秋枝明日香さん

星降るミステリー以来、生でお会いできてとっても嬉しかったです。
やっぱり秋枝さんはイケメンでした。
カッコ良すぎて、チェキは買っておいたのに、追いブロマイド、追いチェキしました。

日向太郎とその妹真子の演じ分けがすごい!
魂を呼び寄せて、太郎と真子が行ったり来たりするのですが、今どちらなのかすぐにわかる演技がすごかったです。

真子の時にはコメディな雰囲気で、自分のアクションで5人のリアクションを観察しているような雰囲気でした。
5人の女性たちは真子が霊媒した太郎を通して、太郎と自分に向き合っていくのですが、間に立つ真子がフラットな態度でいるところがすごいなと思います。

太郎の時には、ぐっと大人なかっこいい雰囲気になっていました。

それぞれの女性に対して大きく態度や言葉遣いが変わっていて、太郎の中の演じ分けもすごかったです。
マリアに対しては弱さを見せ、金山に対しては師匠としての態度で接し、妻には純粋な愛情と感謝を伝えて…。
きっとリアルな日常では誰もがそうしていることを、舞台上で表現しているのがすごいなぁと感じました。

真子とは打って変わって、太郎の時にはずるい男を表現していました。
マリアに対しては僕なのに、他に対しては俺と言ってみたり、甘えるように触れてみたと思ったら、肩を掴んで厳しい態度を取ったりとリアルな人間を感じました。
リアルな人間を感じさせるのに、どのシーンでもカッコよくて…本当に秋枝さんもずるいです。

もう!好きです!笑

最後に

長々と語りすぎてしまいました。
秋枝さんを追いかけて行った舞台で、かなり心を揺さぶられました。

そのまま一緒に行った友人と感想戦をして、その場で当日券を抑えてしまいました。
夜の公演もいくことができて、他の班の演技を見ることができてさらにPolygamyを楽しむことができました。

Polygamy 千秋楽お疲れ様でした!
役者さん、スタッフさん、皆様ありがとうございました!
大ファンなので、今後も応援しております!

ますます演劇沼にハマってしまったので、今後も舞台に足を運びたいと思います。

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