短文「貌」

 愛想を良くすれば、勘違いを引き起こしかねない社会だと言う。
 男女平等が広がりを見せている現代でも、実際の肉体や事例が変わることは無い。昨今、出生率の低下や若年無業者の増加が問題視されている中で、人肌の恋しさを暴力的に・利己的に解決する男性も少なくないのだ。心底軽蔑する。
 それ故、自衛として笑顔を禁じる女性も多い。なんと悲しい世相か。

 分け隔ての無い無償の愛は、人の特権であり、人が人たる所以ではなかろうか。
 心の内など神でもなければ知り得ない。ならば演技をする人生というのも一興。誰にも非難をされる謂れのないことだ。
 外面を良くすれば、自他ともに良い影響を与えるだろう。円滑な環境、柔和な社会の形成。その実現に一役買うことは間違いない。

 とは言いつつも、仮に万人がそうなれば仮面のような冷淡な印象を受ける人も出てくるだろう。
 個性を潰さぬよう平和を築くというのも、やはり一筋縄ではいかないのだ。

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