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原稿用紙1枚分読書中に感じることを書いてみる


 本の終わりに差し掛かると、終わりが近づくにつれて脳から変な汁が出ている気がする。これまで積み上げてきたのちにどんな結末が待っているんだろうと、一気に駆け抜けたくなる。時には100ページくらい手前から走り始めて読み終えた頃には大きく肩を揺らし息を切らすこともある。空気が澄み切って遠くの山脈まで凛々しく見える絶景を期待していたら、ガスがかかっていて真っ白な場所へと到着して、ここが何時間もかけてたどり着く意味があるのだろうかと思うこともある。自分が書いていない文章が自分の望む終わり方をするはずもない。天気を自分の力では変えることもできないと割り切ることになる登山と読書にはかけ離れているようで、実は親戚だったんですと打ち明けられそうな共通点がある。文章と山の界隈に自分という存在が映し出されているのを感じながら過ごす時間は、そこにたどり着いた人だけが味わうことのできる澄んだ空にも劣らない景色だ。

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