実家に帰るときに毎回感じるあの独特な匂い
帰省すると言っても新居から1時間足らずでで着くほどの近さだ。もっと新幹線に乗ってみたり、飛行機を数ヶ月前に予約したりして帰省という行為をを大きなイベントにしたかった。
実家がある最寄駅に着くと、嫌というほど蝉の鳴き声が聞こえた。駅周りの緑の多さが印象的だけど、スーパーの外に置いてあったトマトの値段は自分の住んでいる土地と同じくらいだった。通り道には比較的新しい鳥のフンが数カ所に落ちていたので自分にも降りかかってこないかとどきどきしながら少し早足で歩いた。団地の階段は前よりも汚くなっていたようで、おそらく昨日の雨のせいだろうと思う。セミの死骸が2匹転がっていた。玄関を開けると実家の匂いがした。この匂いって何者なんだろう。実家に住んでいた頃は特に意識していなかったけど、家を出てから帰ってくると、「すごく実家に帰ってきた!」という気分になる。古臭い気もするし落ち着くと思うのは家を離れてから1ヶ月足らずしか経っていないからなのか、毎回この「帰ってきた!」感覚を味わうことができるのか。これからもこの懐かしいような、こそばゆい気持ちを感じ続けることができるといいなと思う。そしていつかどこかに帰る側から、誰かが帰ってくる場所を作れる側になれたらいい。