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もう押し売りはいやじゃ。

―昔好きだった『からくりサーカス』という漫画の、ゾナハ病患者を思い出す。苦々しい表情と笑顔を同居させながら、売れない商品を売らされる営業マンたち。「もう押し売りはいやじゃ」。彼らの悲痛な叫びが、私に「押し売りは悪」だと教えてくれた。

以前勤めていた会社がお菓子の問屋でして、営業をしていました。営業マンが売るものは大きく分けて3つ。

① 自社商品
② 全国津々浦々、中小メーカーさんのお菓子(地方銘菓)
③ 自分で開発して売る

辞めた今だからキッパリ書くのですが、①自社商品というのが、まあ売れない。だいたいが、他社より量・価格がお得なもの/ただし質は推して図るべし。あるいは、「こういうの他にはないよね?」という短絡的発想だけで持ってきた海外の輸入品。

そして営業マンたちは、ノルマを割り振られるわけです。「はい、あなたは今月いくつ売ってきてね」と。

ちなみに…顧客が求めているのは、ぶっちゃけ②の地方銘菓。ここにノウハウがある会社なはずなのに、「ウチは問屋からメーカー化にシフトしているのだ」と顧客の声は無視されていたように思います。

相手都合ではなく自分都合。

営業マンの平均年齢は高めで、業界数十年、②のカテゴリーなら百戦錬磨の先輩方が、①のノルマを課せられ、内心「こんなの売れねーよ」と思いながら、あの手この手で売ってくるわけです。

あの手この手というのはまあ、赤字で売ったり、リベートを付けたりして。

辞めた今だからキッパリ書くのですが、「しょうもな!」と思ってましたよ。(僕は厳密には開発兼営業だったので、ほぼ③専門でした)

「気持ちは分かるけど会社が作ったものだから、売ってこないといけないんだよ」

という当時の上司。その言葉をそのまま「会社から売ってこいと言われてるんで、なんとか取り扱ってもらえませんか?」などとセールストークともつかないトークをするわけです。

押し売りは顧客ニーズを無視した愚の骨頂! とはよくいわれることですが、僕の場合それ以上に…押し売りと聞くと、先輩営業マンたちが苦々しい表情をしながら「なんとかあ、お願いしますう」と言っている声が耳に浮かんできます。

自社商品でも、自信を持っていいものを作っているなら、当然話は違います。でも9割がそうじゃなかったので。消費者じゃなく、市場にある・ないや、競合関係ばかり見ていたんですよね。

自分は運がよかったのか、あんな苦々しい表情をしなくて済んだけど、ゾッとしますな。1年で3倍くらい老けそう。っていうか老けてる人いた。

彼らの悲痛な叫びが聞こえてきそうなので、僕は今後も押し売りはしません。ストップ、押し売り。


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