性別記号って何なのか?
ビジネスに使えるデザインの話
ビジネスにデザインの知識はけっこう使えます。苦手な人も多いから1つ知るだけでもその分アドバンテージになることもあります。noteは毎日午前7時に更新しています。
性別記号
性別記号(英語: gender symbol)は、生物学的性別または社会学的性別(ジェンダー)の別を表すための記号です。生物学・医学、系図、アイデンティティ政治・LGBT関連で用いられます。
スウェーデンの植物学者、カール・フォン・リンネ(Carl von Linné)は著書『Mantissa Plantarum』(1767年)と『Mantissa Plantarum Altera』(1771年)の中で、火星、金星、水星の惑星記号である♂、♀、☿をそれぞれ雄花、雌花、雌雄同体を表す記号として使用していました。
性別記号は、科学関連の出版物において、患者などの個体の性別を示すために依然として使用されています。現在、科学論文に掲載されている血統図では、雄は正方形、雌は円を使用します。
生物学における3つの標準的な性記号は、雄♂、雌♀、両性⚥で、元々は水星の記号である☿が最後に使われていました。 これらの記号は、1751年にカール・リンネが、花が雄花(雄しべのみ)か雌花(雌しべのみ)か、雌しべと雄しべの両方を持つ完全花かを示すために初めて使用しました。
ほとんどの顕花植物や針葉樹の種は両性花で、花や球果自体が両性花であるか、同じ植物に雄花と雌花の両方の花や球果をつけます。
血統図
科学論文に掲載された血統図では、人類学的な慣例である男性を四角形□、女性を円○で表しています。
形状の区別が採用される以前は、モーガンの1871年の『ヒト家族の血族と親族に関する体系』(System of Consanguinity and Affinity of Human Family)では、すべての個人が円で表されており、性別は親族関係を表す略語(例えば、Mは「母親」、Fは「父親」)で符号化されていました。
公衆トイレで使われるピクトグラム
公衆トイレに使われる現代の性別記号、🚹︎ は男性、🚺︎ は女性で、1960年代半ばにイギリス鉄道(British Rail)のシステムのために作られたピクトグラムでした。
それ以前は、地域によって使い方が異なっていました。例えば、19世紀のアメリカの校舎のトイレのドアには、男子用か女子用かを示すために、それぞれ星型の太陽✴または三日月☾の形をした換気穴がありました。
イギリス鉄道のピクトグラムは、現在では世界の多くの公衆トイレの目印となっており、女性のシンボルは三角形のスカートまたはドレスで区別され、初期の頃は(そして今でも)男性のシンボルはタキシードのようなスタイルになっています。
例えば、携帯トイレによく見られる丸と三角の変形(女性)と(男性)は、リトアニアではさらに抽象化され、女性は三角形の△(スカートまたはドレスを表す)、男性は逆三角形の▽(肩幅の広いタキシードを表す)になることもあります。
ポーランドでは、男性には逆三角形の▽が使われ、女性には丸の○が使われています。
性的指向とジェンダーポリティクス
1970年代以降、ジェンダー・シンボルのバリエーションは、性的指向やジェンダー政治を表現するために使われてきました。 2つの連なった男性のシンボル(⚣)はゲイ男性を表すのに使われ、2つの連なった女性のシンボル(⚢)はレズビアンを表すのによく使われています。女性と男性のシンボルが連なった記号(⚤)はヘテロセクシュアルを表します。
男女合体シンボル(⚦)はアンドロジインやトランスジェンダーを表すのに使われます。
水星シンボル(☿)と女性・男性合体シンボル(⚥)はどちらも両性具有(intersex)を表すのに使われています。
惑星記号
惑星記号(Planet symbols)は、太陽系の惑星を表す記号です。古くから、占星術・タロットなどでも使われてきました。
天王星・冥王星などは記号が複数存在します。Unicodeなどにより、コンピュータ上でも大半の惑星記号が利用できます。
火星(♂)、金星(♀)の記号は、生物のオス・メスを表す記号としても使われています。
歴史
惑星記号は、古代ギリシャ時代にも使われていましたが、現在のものとは違いました。現在の形になったのはルネサンス期です。地動説により地球が惑星となると地球の記号が追加されました。
1781年の天王星を嚆矢として新惑星が次々と発見されると、それらのための新しい惑星記号が考え出されました。発見当時は惑星とされたが現在は惑星とされていない最初のいくつかの小惑星と冥王星にも、記号があります。また、キロンとエリスは天文学上は惑星とされたことはありませんが、占星術では惑星と同様の意義があると考える者たちがいるため、記号が与えられています。
錬金術記号
錬金術記号(Alchemical symbol)は、錬金術で用いられる記号です。18世紀に記号として用いられました。その一部は惑星記号にももちいられました。
錬金術記号では、♂は鉄を、♀は銅を、☿は水銀を意味します。
ボルボのロゴ
自動車ブランド、ボルボのロゴには男性記号にた記号が使われています。これは男性記号ではなく、鉄を意味する錬金術記号として使わています。ちなみにVolvoはラテン語で「回る(roll)」を意味することばで、もともと鉄製のボールベアリングのために考案された名前でした。*5
まとめ
性別記号はよく知られていますが、惑星記号、錬金術記号はさほど知られていないのではないでしょうか。ゆえにボルボのマークが男性記号だと誤認されるのも致し方ないでしょう。
惑星、性別、錬金術もざっくりいえば、科学のフィールドで使用されてきたものです。公衆トイレなど、明確に男女差を表すためには、これらの記号を使うよりもピクトグラムを使われることのほうが一般的です。
ピクトグラムに関してはDOTピクトグラムという米国運輸省(DOT) の依頼でアメリカグラフィックアート協会(American Institute of Graphic Arts)であるAIGA が作成した50種類のピクトグラムが有名です。DOTピクトグラムはその普遍性から、「ピクトグラムのヘルベチカ」(ヘルベチカは有名な書体)とも呼ばれており、人(男性)を表すピクトグラムは「ヘルベチカ・マン」と呼ばれています。*6
ところでミュージシャンのプリンスは、両性具有的な記号を自分のシンボルとして使用していました。
参照
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