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オードリー若林の感性【読書記録*ナナメの夕暮れ】

Kindleおすすめに出てきたオードリー若林さんの著書。
お笑い芸人さんの本って意外にも受賞している本も多いが、一度も読んだことはなかった。
実は、前から若林さん結構すきだったわ、って思いながら読んだ。

3項目要約

  • オードリー若林の気づきを彼自身の感性とその言葉で語っているエッセイ集。

  • 自分の経験や芸人仲間との会話などを通して、日常や普通の中で生まれた疑問への考察が興味深い。

  • スッと心に刺さる文体で、読み進めてしまう。内容も面白いかつ勉強になる。


読書感想

【ビフォー】お笑い芸人のエッセイとはどんなものか?面白いのか?

【気づき】※今回は心に残ったものの抜き出し

  • 自分で休載をお願いしたのだが、その理由は簡単で、単純に書けなくなったからだ。〜休載前項は自分からびっくりすることを探しに行っていた。そりゃ、何時間も見つからないわけだ。探しているということは、びっくりしていないんだもん。

  • ぼくは、仕事終わりの喫茶店でジンジャーエールを飲みながら、腕を組み、違和感を抱いている先輩の価値観、仕事関係の価値観、両親の価値観、視聴者の価値観、このあいだ会ったキャバクラ嬢の価値観、今隣で愚痴をはき続けている人の価値観を徹底的に批判していた。つまり、本音を確認していた。すると、自分の価値観がむくむくと立ち上がってきた。

  • 理想の自分に追いつこうとしているから、今日の自分を生きることはなく、常に未来の理想化された自分を生きている。だから、今日をずっと楽しめなかったんだ。今日じゃないな、今だな、もっといえばこの一瞬を楽しく生きてこられなかったんだ。

  • スマホに死んだ親父の画像を差し出し「ねぇ、親父」と話しかける。

  • 自分の気持を素直に言えるようになるための第一歩は「自分に自身を持つ」みたいなしょうもない絵空事じゃない。自分が臆病であることを認めることである。そして、それを大いに笑ってもらうことである。

  • 「怒らされている」気がした。(テレビ番組のコメントについて)

  • (モンゴルから)日本に帰ってきてから「みなさんがそれぞれのプロで分業してくれてるから安心して住めるんだよな」と思いながら散歩していたら、すれ違う人がみんな味方に見えた。〜だけど、モンゴルから帰って来て1ヶ月も経てば仕事で表参道をなんかを歩いていると、すれ違う人全員に「なんだよこいつら気持ちわりぃな」と思ってしまうのである。

  • 似ているなぁ、ぼくの好きな小説とかプロレスとかラップとか漫才に。熱くて、危なくて、一瞬で。ワクワクするためには、安全すぎないことといつ来るかわからないことを引き受けなければならないのか。

  • ”絶望に対するセイフティネットとして、趣味は必要である” そう確信している。

  • 他人への否定的な視線は、時間差で必ず自分に返ってきて、人生の楽しみを奪う。

  • (”肯定ノート”を書くこと)書いていくことで、自分がどういう人間なのかもよくわかった。〜世界の見え方は、どんな偉人であれ、悪人であれ、思い込みに他ならない。肝心なのは、”どう思い込むか”である。

  • ”話を聞いてくれる人”というのは、理解者のことである。人間は、人生で理解者に何人出会えるだろうか。

  • 誰と会ったか、と、誰と合ったか。


まとめ

上の項目で心に残ったものを羅列すると、人生についてただ語っている本に思えるが、締めの文章などを抜き出したのみ。具体的なエピソードや経験の部分もとても面白いので、ぜひ一度読んでもらいたい。

個人的には、表現の脱力感もすき。飾っていない、彼自身の言葉になっているなぁと感じる。こういう文章を、私も目指したい。
彼は、本書の前に2冊出版されているとのこと。探して他のものも読んでみよう。


書籍情報

若林正恭, ナナメの夕暮れ, 文藝春秋, 2021


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