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前職を辞めた理由がコロコロ変わる女性の話。

実体験に基づいたフィクションです。

彼女は仕事中、唐突に言ってきた。
「前の職場を辞めたのは、仕事の後で、バレーボールの練習をやらなきゃいけなくて。職場の部活はほぼ強制で。断れないし、つらかったんだよね。」

私は、自分のパソコン画面を見ながら、
「そりゃ大変だったね~。」
と答えた。

1ヶ月経つと彼女は、仕事中また唐突に言った。
「前の職場を辞めたのは、店舗が移転しちゃって。残業後に、駅まで人気の無い道を20分歩くのも、男性社員の車に乗るのもイヤだったからなんだよね。」

私は、自分のパソコン画面を見ながら、
「それはイヤだね~。」
と相槌を打った。

さらに1ヶ月経つと彼女は、仕事中にまたまた唐突に言った。
「前の職場を辞めたのは、主任になったら、社内用のケータイを持たされて。トイレで用をたしているときも出なくちゃいけなくて、大変だったんだよね。」

私は、自分のパソコン画面を見ながら、
「それは落ち着かないね~。」
と流した。

さらにさらに1ヶ月経つと彼女は、仕事中にまたまたまた唐突に、
「ある女性社員の資格試験の受験に、付き添いもかねて私も一緒に受けるように言われて、私だけ受かっちゃったんだよね。」

(ああ、そういうことか。会社としては、何らかの理由でその女性に受かってほしかったのに、サポート役だけが受かってしまって。資格があるからサポート役が主任になったけれど、それをよく思わない他の女性社員たちから、トイレに入ったときを狙って電話をかけられたり、バレーボールの練習のとき集中攻撃されたり、夜道を一緒に帰ってくれなかったり、車で送ってくれなかったり、つまり、イジメに遭っていたんだね。)

私は、イスをクルッと回転して、彼女の目を見ながら言った。
「私は陰でコソコソしたり、陰湿なことをするのが嫌いだからハッキリ言うけど、あなたも私と同じ仕事をやっていたらたぶんわかると思うけど、入力中は話しかけないでほしい。間違えたり、集中力が途切れたりするから。」

すると、彼女は、
「そうなんだよね。私、いつも空気が読めないヤツで。」
と泣きそうな表情になった。

私は、
「私、仕事中の私語はイヤだけど、仕事の後のおしゃべりは大好き。帰りにどこかに食べにいかない?」
と言った。

彼女は、
「そういうの久しぶり。」
と言って、笑った。

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