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【01】若き日の望楼

最近はやけに昔を思い出すことが多い。恥の多い若い時代を振り返りたくとも何しろ十数年も前のことだから、このサイト(mixi)の登録アドレスもパスワードも忘れてしまった。当時やり取りしていた多くの人が、このサイトをやめてしまったことだろう。

ところである知人が「若き日の望楼」を聴くと泣いてしまうと言った。過ぎ去りし日の戻ることのない青春を思って泣くというのだ。「あの頃はこの曲の意味を本当には分かっていなかった。きれいなおとぎ話のように聴いていたんだよ。青春が過ぎると全く違って聞こえた」と言った。確かに「かえりこない青春」はあるだろうが、私が「かえりこなくない青春もあるよ!」と言うと、知人の顔がぱあっと明るくなって「そうだよね!」と爽やかな笑顔を見せてくれた。

しかし、一人考えると、

帰り来ぬ青春……行ってしまったきり戻って来ない青春
帰り来ない青春……行ってしまったきり戻って来なくない青春
帰り来なくない青春……行ってしまったきり戻って来ない青春

ということかもしれない。間違えた励まし方しちゃったかも。
かくいう私もこの歌を聴くのも十数年ぶりで、戻るのか戻らないのか分からなくなった青春を思ってしんみりと涙を流すのだった。

日がな一日腕組みして考えて、夜明け前に開眼してログインできた。
苦笑いしながら昔の日記を読むとしよう。えへらえへら。



*この文章は2024年02月15日にmixiに記載したものです。読んでくださる人があまりにいなかったものですから、こちらに再掲いたします。


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