ひとりそたぶ519 芸術(2回目)

519回目は「芸術」です。2回目です。

芸術の秋なのに無縁の生活を送っております。入場料高過ぎワロタ。

ではご覧下さい。

レイニースターライト
コント/芸術は爆発だ

陶芸家:何か用かね?

志願者:僕は美術館で先生の作品を見て「これだ!」と思いました!

    お願いです先生!僕を弟子にして下さい!

陶芸家:済まぬが私は弟子を取らない主義なんだ。わざわざ遠い所から来てくれて恐縮だが帰ってくれ。

志願者:えーっ、こんな粘土弄って作るだけなのにそこまで言う~?

陶芸家:失敬かよ。益々取る気が失せたよ。

志願者:じゃあ弟子入りは諦めます。その代わり先生の作品を割らせてくれませんか?

陶芸家:今何と……?

志願者:ですから先生が作った壺を割らせて欲しいんですよ。何度も言わせないで下さいよ。

陶芸家:聞き間違いじゃなかったか。譲歩して割らせろってどういう了見なんだよ。

志願者:僕、先生の作品を見た時、猛烈に割りたい衝動に駆られまして。

陶芸家:お前の「これだ!」って一目惚れじゃなかったのかよ。

志願者:他の先生の作品は全く割ろうって思わなかったんですが、先生がお作りになられた壺だけは本当に割りたかったです。

陶芸家:嫌な特別扱いかよ。

志願者:まあ理由としては一番下手だからですかね。

陶芸家:芸術センスゼロの奴に言われてもノーダメージ。あれ一応佳作貰ったんだぞ。

志願者:で、弟子になれば割りたい放題かなと思いまして。

陶芸家:飲食店でまかない食べ放題みたいな動機で来るなよ。絶対に割らせねえからな。

志願者:わざわざこんな山奥まで来てあげたんですよ?

陶芸家:何でそんな上から言うんだ。立場弁えろよ。

志願者:どうせ弟子入りさせてくんだから敬語使う必要無いっしょ。

陶芸家:初対面だぞ。弟子以前に人間としてあり得ねえわ。

志願者:ホラ!!大人しく作品を出せこのヘボ作家!!その下手糞な作品が世に存在する事が許せないんだ!!(トンカチを取り出す)

陶芸家:ふざけんじゃねえ!!さっきから大人しくしてりゃいい気になりやがってこのガキ!!

    私はこの道40年歩んだんだぞ!?お前なんかに何が分かるっていうんだ!?

   


(揉み合う二人)

    

    

志願者:(血まみれで倒れている)

陶芸家:(血まみれのトンカチを持っている)はあはあ……。

    出来の悪い「作品」は世に存在しちゃいけない。確かにお前の言うとおりだな。

    とりあえず窯にでも入れて証拠隠滅しねえとな……。

    しかし死体を埋めると土が良くなるんだよな……。今度は最優秀賞頂きだな……。

(暗転)

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