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【私は愛なんて知らなかった】MtFの彼女-030

手術は無事終わり、経過が順調なことと、リハビリが土日祝は休みなこともあり、GW前に退院することができた。

事前に言われた通り、手と指の痺れは多少残ってしまったけれど、今はスピードは落ちたけれど、タッチタイビングができるようになった。

そして、彼女とは正式に婚約し、5月末に我が家に2泊していってくれた。

まだ、あと1ヶ月はコルセット生活なので、手料理を振る舞うこともできず、けれど二人とも逢えたことで胸一杯で、普段沢山食べる彼女も、私も、おつまみをつまむ程度だった。

けれど、ホテルで逢うのと家で逢うのとでは、かなりの気持ちの違いがあって、それは同棲している3日間のようで、人に愛されたことのない私には幸せすぎた。

その反動で酷い鬱状態になり、彼女が今月もまた来てくれるというのを、一度断った程だった。

けれど、彼女は来てくれて、そうしたらやっばり幸せで、沢山一緒に眠り、タイ料理を食べに行き、YouTubeで色々な音楽を流し観し、何度もお風呂に入り、沢山話をし、とてもとても楽しくてフワフワした時間だった。

そしてまた、彼女が帰ると鬱状態になり、一昨日からやっと鬱を抜け出せたようで、たまってしまっていた彼女の活動に関するBlogを更新し、夜はあるものの制作を2人でしていた。

黒い部屋着のワンピースを着て、並んでベッドに座っている時、私たちは蝶の右の羽と左の羽のようだと思った。

決して離れられない。
片方が無くなったら、飛ぶことはおろか、生きることもできない。

なんだかそんなことを思った。

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