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Vol.52 こんなお母ちゃんになりたい

図書館におけるわたしのささやかな楽しみとは。

小説コーナーからタイトルだけ見て
ビビッときた本たちを10冊ほど手に取り

目の前のちょっと右側に積み重ね
時間を気にせず一気読みすることである。


これにより、小説の世界の住人になりきることで
わたしの精神世界に彩りが増すのである。
(やりすぎると地に足つかない宇宙人となる)


本日も例に漏れず、いや図書館のある街へ
用事があったので用事を済ませたあと
図書館へ足へ運び、己の心をどっぷり満たそうと試みた。


そこでわたしは思いがけず
「モヤッ」
「ズキッ」
とした感情に覆われたので取り急ぎ記すことにする。

・・

聞こえてきたのは小学生3人の会話だった。

きっとママさん同士が仲が良いのか
はたまた子ども同士が仲が良いのか

やんちゃそうな女の子
やんちゃそうな男の子
とても静そうな女の子

が繰り広げた会話だ。


とても静そうな女の子がノートに
何か文章を黙々と書いている。

それをどこからかやってきたやんちゃな女の子が
覗こうとすると

静かな女の子はスッとノートを閉じる。


会話の中から静かな女の子は小説を書いているようであった。


ほうほう。わたしも物語書いてるときあったなあ
スッと閉じる感覚、、、
わっかるうううう〜〜
何なら今でも日記とかスッってなるよ〜ん


と、真顔で共感してたのだが


やんちゃな女の子が
静かな女の子に迫る。

「みーせーてよーーー」
「何で見せてくんないのー」
「〇〇には見せて何で私には見せてくんないのー、そゆの差別って言うんだよー」


・・あぁ、、耳が痛いいぃ
小学生の頃の自分を見てるみたいだぁ
静かな子どうするぅうううう

と思って見てたら

静かな子、
「恥ずかしいから‥だめ」

それでも静かな子の書き物を見たいと述べる
やんちゃな女の子に対し

「1ヶ月後ね、1ヶ月経ったら見せるから」
とおずおずと提案。

するとやんちゃな男の子
「ぜってー見せないよ(笑)嘘つき〜」


このやり取りの中でわたしの心の中に
静かな女の子の心中がわかりすぎて
何とも言えないもどかしい気持ちになった。


わたしもこのようなやり取りを数回したことがあるし
見せる見せる詐欺だ、嘘つきだ

と言われることもあったなあ、と。


間違いなく誰かに見せたい欲はあったけど
見せたい、と思える人にはまだ出会えていない

そんな気がした。


否定されるのが怖いんだよね。
わかるよ、わかる。

・・

小説を読もうと席についたけど
何だか心がもやりんちょしたので
帰ることにした

そのときわたしは静かな女の子に聞いてみた

「物語、書くの好きなの?」
と。

彼女はふわっと笑って
「はい、好きなんです」

と答えた。


「見せたくなるときまで自分だけの宝物にしてたらいいんだよ」

って自然と言葉が出てきた。


とても。とても繊細な内気な女の子だった。
これから中学校に上がり、高校生になり
大人になる過程で

たくさん傷ついて「書くことを想像する感情」を
封じ込めちゃうかもしれない


わたしが全く書けなくなったみたいに
何にも感じなくなってしまった日みたいに


世間様が小さな才能の芽を摘み取り、金太郎飴になることを強いたとき
子ども自身が小さな芽を抜き取り金太郎飴になろうとした時


その芽は育てていいんだよ。
むしろたっぷりお水をあげて育てるんだよ。



そう言える器のでかい懐の深い母ちゃんになりたい


過去の自分と静かな女の子を重ねて
思いましたとさ。


おしまい。
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