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【中小企業向け】中途(キャリア)採用のコツ/基礎編⑤

基礎編①②③④のポイントは下記でした。

*コロナ後、中小企業の採用は超厳しい(内定0でも当たり前)
*採用は婚活と同じ!結局ハイスペ(大手)に人気は集中!
*ノープラン&人材会社に丸投げでは採用できない。
*求人を出す前の準備運動として「自社分析」は必須!
*振り向かせたい相手の”脳内”をイメージする(ペルソナ設定)
*人は幸せになるために転職をする、を忘れない。
*媒体を使うなら釣りたい魚のいる「釣り堀」を選ぶ。
*大手求人サイトを使うなら「営業」で決める。

今回は、優秀な人材(経験者)の募集・採用についての注意点をまとめていきたいと思います。

優秀な人材は動いていない。

求めている人材のレベルによっては、どの媒体を使ってもなかなか出会えない場合もあるので媒体選択の際には注意してください。

どこの企業でも内定がもらえるような経験・実力を持つハイスペ人材は、基本的に”転職活動していない”と考えてください。求人を出してもまず来ません。彼らは今の環境に不満があるわけではなく「より良い条件があれば検討してあげてもいい」という完全に選べる立場の人間です。独立・起業さえ視野に入っています。

・20 代若手で一部上場企業に新卒入社(履歴書がキレイ)
・30 代半ば〜で経験値豊富

こうした人材の転職方法は、「スカウト(ヘッドハンティング)」か「紹介」「エージェント」 のいずれかのみと考えてください。大手総合求人サイトに登録をしている場合もありますが、”転職時期未定”と全く急いでいない人材なので相当条件がマッチしない と重い腰をあげないでしょう。そもそもコロナ後の今はサイトに登録していても、ほぼログインしていない”仮死アカウント”状態だと思ってください。本人に直接コンタクトをとる以外、彼らにアプローチをすることはできないのが現状です。

ただし稀に、SNS経由でひょっこり転職を決める場合があります。私が求人広告の制作をしていた当時も、一緒に組んでいた営業がTwitter経由で超有名クリエイターの秘書へと転職していきました。「いや、あなた媒体屋やっててなんでSNSなのよw」と笑いながら見送りましたが、優秀な人材の決断やタイミングは一瞬なんだなと実感した出来事でした。熱烈スカウトメールを送っても、魅力的な人材の元には毎日山のようにラブレターが届いています。「またか…」とうんざりされているため開封率は散々ですが、移動途中にチェックするSNSであれば多忙な彼らを捕まえられる可能性が高いのかもしれません。

そういう意味でも、日頃からSNSを活用しておいて紹介のための人脈や影響力をコツコツと積み上げておくというのも中小企業の採用努力の一つです。無料でできる採用活動ですので、苦手意識や先入観を持たずにトライしておくことをおすすめします。

「母集団形成」はテイのいい言い訳。

求人を出す際に「母集団形成」を目的とすることはよくある話ですが、私の持論としては中小企業の場合、これが裏目にでるケースが間々あります。

大手企業の場合、採用・教育のみに特化した人事部の人間を持っていますが、中小企業の場合には総務や経理が兼務をしていたり、面接は配属部署のマネージャーが行ったり、もっと規模の小さな会社の場合には事務員と社⻑が書類選考から面接まで全てを担っている場合もあります。

採用のプロではない部門の人間が普段の業務と並行して選考を行う場合、丁寧な選考が行えずに良い人材をスルーしてしまいますし、彼らにかけている人件費(時間給)もまた採用コストと考えると「応募数が多い」というのは工数が多くコスパの悪い戦略ともなり得るからです。

「たくさんの中から選びたい」という“量なくして質はない!“という論ももちろん正論ですが、これはただの納得材料に過ぎません。理想を言うなら、最も効率のいい採用というのは「応募→選考→内定が1→1→1」です。工数が少ない最もコスパの良い採用は、この1→1→1で選考が進んだ場合です。100→50→1 は「たくさんの中から選べた」という満足感を得られますが、最初から内定の1に出会えた方がどう考えたってよくないですか?婚活で考えても100人と合コンする労力と時間とお金をかけて1人を選ぶより、最初から運命の1人に出会えた方が絶対に効率的ですよね。「母集団形成」への強すぎるこだわりは一種の先入観にすぎないのです。

ただ母集団形成よりも通過率を優先しましょう!と企業に提案するには、失敗した際のクレームリスクが高いので人材会社の営業の多くは「母集団形成のために...」という保険をかけた話をします。その方がもしも採用に結び付かなかった場合でもある程度言い訳が立ちますからね。さらに企業側の採用担当も「応募は来たんですが…」と上に報告しやすいもの。結局、納得しやすいのでつい母集団形成に意識が向きがちなのだと思います。

求人を出す際の大事ポイントは「その企業にあった方法で、最適な人材を、コスパ良く採用する」というゴールを常に意識することです。量を集めることが必ずしも自社に適さないと考えられる場合には、勇気を持って少数精鋭の選考へ舵を切るのも一つの戦略。採用を行う企業側の対応力の問題(たくさん応募が来ても混乱し、優秀な人材からのエントリーが埋もれて見逃してしまうなど)や、そもそもハードル高めの人しか採用しないと言うのであれば、無駄な応募まで掻き集めるような求人を出す必要はないのです。

これは人材会社にとっても勇気と知恵を必要とする判断なので、担当営業とよく相談の上ですが、必ずしも「母集団形成」だけが採用の成功法則ではないという点はご理解いただけると戦略にバリエーションが出せると思います。

また選考方法だって、書類選考→面接1〜2回にこだわる必要は全くありません。例えば「フルコミの営業を採用したい」「キャラクターを知りたい」と思えば”飲みに行く“という方法だってアリなんです。自社に合うカラーかどうか、履歴書や面接 だけで判断しづらい素養・資質を求める職種の場合には、枠に囚われない採用 プロセスを入れてみるのも手です。そして内定を早く出すのがミソ!悩んで迷って焦らして逃してしまうくらいなら、恋愛のように「もっとあなたのことを知りたいです!」と選考でも柔軟なアプローチを取り入れていくと良いと思います。

さいごに(結局は感情)

応募者も人材会社の営業・制作も、相手は皆「人間」であり、そのパフォーマンスには「感情」が大きく関わってきます。私が現場に出ていた頃も、採用が上手だなぁと思う中小企業の特徴は相手の気持ちを配慮できる担当が窓口かどうかでした。

逆に業者扱いをされたり、細かすぎる(クレーマーに近い)場合には、あまりに地雷が多過ぎてこちらもウンザリしながら炎上しない程度(無事に納品できたらいい)という対応に切り替わってしまいます。どこが地雷かわからなくなり提案しづらくなるため、受注金額相応のパフォーマンスになるんですよね...もったいないです。これは。

自社の従業員のモチベーションキープと同じように、人材会社の人間も、応
募・面接にくる人材も、皆「期待されると嬉しい」ものです。採用に熱が入りすぎるあまり、担当営業や制作に細かすぎる注文や要望を出したり、応募者をぞんざいに扱っていると大体その採用は成功しません。

信じること、任せること、機会を与えること、相手に興味を持つこと。
一緒にタッグを組むパートナー選びだと思って、信頼できる人材会社を見つけてください。


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