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ちょっと遠くまで散歩に行けた子犬の話

6月にやってきた我らが愛犬は、最近ようやく3ヶ月半になったところ。ワクチンも終了したので、警戒心が強くなる前にと散歩に連れ出しているのだが、なかなかにお散歩がうまくいかず、苦戦している。

白柴様は内弁慶

うちの柴犬様は庭であれだけ暴君ぶりを発揮しているくせに外に出ると小心になる。庭に迷いこんだトカゲをもてあそび、羽化直前のセミが穴から這い出た瞬間にとらえ、母の家庭菜園を掘り起こした暴れん坊が、散歩中は何かにつけてやたら立ち止まり、「そっちには行かん」と拒否の姿勢をとる。どうやら散歩中に出会う「初めて見るもの」を警戒しているようだ。いつもの元気は庭に置いてきているらしい。

グイグイ来るよその犬が怖い

犬にも人と同じように相性の良い・悪いがある。うちの子犬はどうも初対面の人やグイグイ来る系の犬が特に苦手のようだ。車や大きな建物も、中から人がたくさん出てくるので好きではない。よその犬からお尻の匂いをかがれただけで縮こまり、それでも相手が諦めなければ飼い主の股の間に引っ込む。

先代の柴犬は真逆のタイプで、人も犬も大好きだった。自分からよその犬に近づいていっては「頭が高い!」とお叱りを受けていた。当然かもしれないが、同じ柴犬でも性格はいろいろだな、と感じる。

話を今飼っている犬に戻すと、我が家の子犬、思ったよりもビビリで繊細な奴だった、ということである。

子犬の成長

ビビリな子犬だが、いつまでもビクビクしているわけではなく、今日は大きな進歩があった。いつもは20分行ければ御の字の散歩が、今日は35分歩けた。散歩距離も長くなり、途中で座りこむことも少なくなった。公園に着いたときなんてむしろ散歩を楽しんでいるようにしっぽを振り、軽快な足取りでチャカチャカ爪音を響かせて歩いていた。

散歩が成功したのは、おそらく数メートル先を仲良しの犬が歩いていたおかげだ。今日だけ、たまたま散歩の時間帯とコースがかぶったらしい。いつもは公民館など車の出入りが多い施設の前で「帰りたい」ポーズをする(尻込みして前に出ない、座り込む)子犬だが、「仲良し犬の後を追いたい」気持ちが「車怖い」に勝ったようだ。意外にも友達犬のことがわりと好きなのかもしれないし、途中で寄った公園が気にいったのかもしれない。

しつけよりも大事なこと

「〜かもしれない」とばかり書いているが、犬は言葉を話せないので、人はその思考回路を想像することしかできない。言葉の代わりに、犬は体の動きや表情、目の輝きで感情を語る。大好きなおやつの前では目をキラキラさせて最上級の「いいこ」を演出し、しっぽをブンブン振る。反対に、シャンプーとか雷とか、嫌いなものに遭遇するとすぐさましっぽを股に挟んで「ハヒェエエィン」みたいな声を出し、部屋の隅に避難する。

人はそういう犬の仕草や行動から「この犬は何が好きなのか?」「何が嫌いなのか?」を探るしかない。

言葉さえあればすぐ説明できるのに、と思えばとても非効率だ。実際、犬を飼うことは想像以上に手間も金も時間もかかることだし、生身の犬との生活はしつけ本にも犬種図鑑にもないハプニングのオンパレードである。それでも、いやそれだからこそ、犬一匹に集中して向き合い、濃い時間を過ごす機会をいただけているのかもしれない、と思えるようになってきた。

しつけや接し方も、犬によって相性の良し悪しがあって万能ではない。犬との暮らしを最大限楽しむためには、しつけ本よりも高級なエサよりも、犬のことをよく見る方が大事なのかもしれない。



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