ダメ飼い主でも犬が好き
最近我が家にやってきた子犬様について、下僕としてお仕えして約1ヶ月が過ぎた。去年の夏に先代犬を病気で亡くした我が家にとっては待望の子犬。でも、子犬との暮らしは予想外のことだらけだ。しかし下僕は庭にお供して蚊に刺されたり、Tシャツをかじられたりしながらも、割と今の暮らしを楽しんでいる。
今のところ子犬様からは「メシ生産機」程度に認識されているっぽい下僕だが、思うことをつらつら書いてみることにした。
全然思い通りにいかない犬暮らし
今から1ヶ月ほど前、我が家に待望の子犬がやってきた。やってきた当初はまるで借りてきた犬のように大人しく、まるでぬいぐるみのようだった子犬は徐々に正体をあらわし始め、今では我が物顔で庭を闊歩し、ナワバリ周辺のパトロールを欠かさない(ただし大型犬が近くを散歩するとビビる)。
子犬を迎えるにあたって家族でしつけ本を読んだ。子犬様にはなんとか本の通りに我が家のルールを覚えてもらおうとするのだが、一向にうまくいかない。父の家庭菜園は一夜にして掘り返され、庭は穴だらけ。子犬は庭木の樹皮をべりべり剥がし、庭の地中からようやく顔を出したセミの幼虫を羽化する前にかじって遊ぶ。鬼かお前は。
噛み癖を治そうと苦い味のするスプレーをあちこちにかけてみたのだが、味が薄いのか味音痴なのか、全然効果がない。子犬様には下僕の思惑など取るに足らないことのようである。
大変だけども犬が好き
犬は猫に比べて体も大きく、毎日の散歩も欠かせない。噛んだり・吠えたりしないようにしつけなければならないし、走り回って遊ばないとストレスがたまる。現代日本では割と飼いにくいタイプの生き物かもしれない。
加えて子犬は排泄を長時間我慢できないので、3〜4時間おきにトイレに連れて行く必要がある。我が家の子犬様は「排泄は庭でするもの」というルールを頑なに守っている敬虔な「庭うんち原理主義者」なので、下僕は朝5時に起床して子犬様を庭に連れて行く。ちなみに、子犬様はおしっこも庭でする。
ブラッシングするにも足を拭くにもカリカリフードを御所望される子犬様は、1日に100gくらいのペースで体重が増えている。1日に差し上げるフードの量は合計で120g。庭にご立派なうんちもされているのに、どうやって体重を増やしているのだろう。質量保存の法則を無視するのはやめていただきたい。
しつけも大事だけど、犬暮らしを楽しみたい
全然思い通りではない、大変なことしかないような犬暮らしだけれども、目下、下僕たる私の目標は「今しかない子犬時代を、子犬様ご本犬と存分に楽しませていただく」ことである。
というのも、私たち家族は1年前に先代犬を亡くした。先代犬が子犬様だったときは「失敗しないようにしつけなければ」と神経質になり過ぎていた。子犬様がどんなことが好きで、どんなこだわりがあって、何に興味があるのか、そんな基本的なことに目を向ける余裕がなかったのである。
「まだまだ一緒にいられる」と思っていた先代が病気で急死したとき、一緒に過ごせる時間を大切にできていなかったことを心底悔やんだ。今回我が家に来ていただいた子犬様に対しては、この下僕、同じ後悔をしたくない。まだまだ至らぬ点の多い下僕であるが、子犬様にお仕えしつつ、いろいろ学ばせていただきたい所存である。
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