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この頃僕らの身の回りで起きていることについて書こうと思う。1月1日。音楽フェスのバイトを終えた僕にあるメッセージが送られてきた。「みんなで初詣行こう」。『あるメッセージ』と言うほど惹きのある内容ではないし、みんなというのは僕を含めてたかだか3人の話である。ところで「神様」は妄想好きが生み出した自分の精神を支えるための「嘘」だから現実世界には存在しないし、いたとしても人間の願いを叶える義理などないので、初詣などなんの意味も持たない暇人の整列作業にすぎないけれど、最近の僕は昔の自分だったらクソほどどうでもいいから断っていた誘いもなるべく受け入れることにしている。(そして、それは非常にありがたいことだからこれからもできるだけ呼んでほしい。)地の底まで落ちたコミュ力を改善するには人との会話が一番効果的だ。OKサインを送った僕は夜勤の疲れを取るために布団の中に潜り込んだ。次に目を覚ましたのは17時だった。おもむろにスマホを取ると僕らのグループラインにはこんなメッセージが残されていた。「もう並んでいる」。これは時間を確認せずに寝た僕が悪い。「今すぐ向かう」と送信して急いで新宿の歌舞伎町の辺にある神社に向かった。(名前は覚えていないが調べればすぐ出ると思う。神社の名前ほどどうでもいいものはないので僕は調べない。)着いた頃には彼らは参拝をちょうど終えていた。残念やったなと言われたが、存在しないものを信じ続けて長い行列に並ぶという無駄な時間を過ごし続けた君らの方が残念やったなとしか思わない。2人はずっと一緒にいたせいかホクホクしているように見えた。

僕らはよく3人で集まる。新宿の居酒屋を2、3軒回ってさよならするのがお決まりのパターンだ。男女比でいうと2:1。僕は彼女(Wとする)とそういう関係ではないが、彼(Mとする)の方はどうだか知らない。MはWに会う口実として僕を毎度呼んでいるのではないかと疑っている、というか、僕らの共通の知り合いからそんな話を吹き込まれた。(一応Mはそのことを否定している。)僕が都合よく利用されているのだとしても別にかまわない。会ってくれる人がいるだけマシだ。僕はマッチングアプリで知り合った人たちにとっての映画とか音楽とか水族館みたいなものだ。二人を繋げるためのほんの一要素でしかない。その一要素に徹することでしか僕は救われない。そんなところまで自分で勝手に転がり落ちてしまった。これは完全に僕が悪い。

歌舞伎町の元旦では当たり前のように店が開いている。僕らが席に着いたのはありあまるほどたくさんのネオンライトが使われている居酒屋だった。なんとなくトレンドを押さえている大人が安易に若者の流行りに乗ろうとしている浅はかさが見え見えで面白かった。もちろん、あのネオンの光に引き寄せられたインスタ映え中毒者たちは自らの生態が蛾と酷似していることをはっきりと自覚しているだろう。おそらくあそこが東京で一番しょうもない居酒屋だ。しかし、僕ら3人もしょうもないやつらの集まりなのでちょうどよかった。

料理はめちゃくちゃ美味しかった。提供スピードも違反級の速さだった。久しぶりに2人と会えたのが楽しくてついつい酒を飲んでしまった。そして僕は普段より酔ってしまいタバコを吸ってることを2人に打ち明けた。別にカミングアウトと言うほどのことではないが、秘密主義者の自分にとっては隠し事はあればあるほど良いのでそのうちの1つが無くなってしまい少し残念なことではあった。その流れで彼らの前でタバコを吸うハメになり僕はピースライトに火をつけた。知り合いの前で吸うのは人生で初めてだったが、いつも吸うときとなにが変わるでもなく、むなしい初体験になってしまった。何一つ得られなかった自分に幻滅して、さっきまで僕が嘲笑っていたネオンライトに今度は逆に嘲笑われている気がした。僕とネオンライトは相性が良いのかもしれない。お互い利用されている者同士、仲良くやっていこうね。

その日、僕は終電で帰った。酔いが回っていたのかすっかり寝てしまい、終点まで来ていた。改札を出ようとした時あることに気づいた。財布とスマホがない。盗まれた?そう、盗まれたのだ。え、なんか自分わるいことしましたか?神様、ねえ神様。あそっか、神様っていないんだった。

それから3ヶ月ほど経った。僕らの周りで大規模な花見大会があったらしい。僕は誘われてないし、誘われても行くわけないメンツが勢揃いしていた。人づてに聞いた話によると、Mはその集まりに参加したそうだ。そこでMは花見を主催したリーダー格の男に「Wとヤッたん?」と質問されてたじろいでいたらしい。な?誰がどう捉えても、そういう見方になるんだって。俺は悪くないぞ。

ただ、1つ疑問はあるとすれば、どうして僕とWがヤッたんじゃないかと疑う人がいないのか、ということだった。




 
 

   
 
 

 
  
 
 
 


Wとヤってません。
 
 
 
  

 
 
 

 

 

というかWは僕と絶対にヤってくれません。おそらくWは僕を本能的に男として魅力がない人間だと判断しているからです。しかし、それは逆も然りなので、僕もWとヤる気が起きません。WはMとだったらヤるかもしれないです。Mはサブカルにモテるからです。Mはサブカルチャーの愛人です。サブカルチャーの「ー」はMがサブカルに挿入した棒だとも言われています。MとW、二人がヤってたらめちゃくちゃ面白いのでそんな未来を期待しています。あるいはもうヤってるのかもしれないです。そしたら教えてね。

 
 
 
 

 
実はこのnote、Mに監視されています。


小さい頃からお金をもらうことが好きでした