5/30 パンケーキ2.0

こんにちは。ほぼ毎日、お祈りしに行くみたいに図書館に通い、勉強熱心な高校生に紛れて読書をしている社会不適合者です。俺の想いが通じたのか新潮6月号が雑誌コーナーに置かれていました。本谷有希子の新連載「パンケーキ2.0」が無料で読める日を待ちわびていたのです。冒頭から早速本谷有希子らしさ全開でした。認識が歪んでる女の子がひねくれたことをぶちぶち言いますし、誰もが無意識に取り上げないようにしている人間のエゴの汚ならしさをこれでもかというくらい見せつけてくる。この人がやってることは、スイッチ押されて爆発するみたいな、何かをきっかけにしたものではなく、ずっと酸性雨が大降りしてるみたいな自然現象としてただそこにあり続ける不快感。湊かなえはイヤミスの女王とか言われますけど、この人はただのイヤの女王ですね。シンプルに不愉快をきわめていらっしゃる。本質的なドロドロを書かせたら本谷有希子の右に出る者はいないんじゃないかなって。今から具体的なあらすじを書きますけど、もうね、不愉快を追及しすぎて悪夢のようなファンタジーにまで手を出してしまっていますから。マウントをとることで他者との繋がりを感じられるクレーマー気質のミクルと承認欲求の奴隷と化したソラが、落ち着いた雰囲気の高級パンケーキ屋で理不尽なクレームをつけるなど大騒ぎして店員を困らせ続けます。そして、途中で2人の顔はイソギンチャクになっています。もうわけわかんない上に最悪ですよね。おそらくこれが今の本谷有希子が目指している形なんだと思います。政治家の嫁のズラがずれているのをドアップで映し続けるような嫌な視点と説明もなしに現実と虚を織り混ぜてもしっかり読ませる表現力を駆使して、この世にはないものを生み出そうとする心意気。本当に尊敬します。まだ本谷有希子は止まっていない。自分を更新し続けている。やっぱり本谷有希子はすごく信用できる人だと思いました。どんな物語になるのか想像もつきません。次号がとても待ち遠しくて、久しぶりにジャンプを読んでいる時の感覚になりました。そんな感じの感想です。連載終わったらパンケーキ食べに行こっと!

あとで気づいたのですが、読みきりでした。

小さい頃からお金をもらうことが好きでした