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写真展「Geranium.」を終えて。

2023年05月28日東京の下高井戸にて、無事「Geranium.」の終幕を迎えることができました。構想から一年、まずはこの作品に目を留めてくださった皆様、実際に足を運んでくださった皆様に深く御礼を申し上げます。

東京展示にて。Photo by SHoMA

ずっとnoteを更新したいとおもいつつ、気づけばもうすぐ2ヶ月が経とうとしています。色々と心境や環境の変化があり、忙しなく過ごしていました。

作品について振り返り、解説していくのは野暮かもしれませんが、人生で初めての展示を創っていくにあたって何を考えていたのか、将来の自分のために残そうと思います。ぜひ、興味のある方、お時間のある方はご覧ください。



これはきっと、あなたの話。

Photograph by うめ
会場にも飾った大切な言葉。実際におきょんに書いてもらいました。

端的に「Geranium.」を説明するのであれば、人の繋がりや感情を表現した作品。ヒロインである「あなた」の持つ人との繋がりや、移りゆく感情の動きを物語のように写真で表現しています。

そう、主役はあなた。
見ているあなたに自身を投影して作品を見てもらい、言葉にできない何かを感じてもらいたい。寂しさに寄り添うことや没入できることを意識して、全ての制作を行なっています。この世界に刺さるものがあれば嬉しいです。

キーワードは花言葉

#泡沫のように移りゆく と付けて撮影している私の作品の多くには花の名前がついています。 昔から花言葉を始めとしてモノに言葉が与えられることについて興味が深く、その影響もあってかここ数年の作品の大半は花をイメージして作品を作っていました。
今回の写真展のタイトルであるゼラニウムも花の名前です。 

白いゼラニウムの花言葉は「あなたの愛を信じない」
赤いゼラニウムの花言葉は「君ありて幸福」
黄色のゼラニウムの花言葉は「予期せぬ出会い」
緋色のゼラニウムの花言葉は「メランコニー」
そして、ピンクのゼラニウムの花言葉は「決意」

 

この色ごとのゼラニウムの花言葉を軸にGeranium.のストーリーが練られています。

キャストそれぞれの手首にリボンがついています
(便宜上、緋色のみワインレッドで代用しています🤫)


2つの葛藤

「Geranium.」は私とりりの共同プロデュースで、根幹となるテーマやストーリーについては一緒に考えています。そのお話をもとにスタイリングをはじめとした、さまざまなディレクションをりりが担当しています。そうして作られた世界を切り取り、レタッチによってその表現をより強調していたのが私です。ここで、りりのnoteから一部引用します。

「作品における被写体としての考え方」

今回の作品においては、自分であって自分ではない、と思っていました。
なぜなら見ている人が自己投影してもらえるような役であるべきだからです。

みんな自分であって自分ではない。
この作品の中で生きる人たちは被写体をしてくれたみんなそのものとは違う人です。つまりお芝居ですね。ですから"キャスト"と呼んでいます。

舞台などでも同じように、物語には演出家の意図というものがあります。
自分の解釈のみで芝居をするのではなく、演出家の意図に沿ってそこに自分の解釈も盛り込み、擦り合わせながら行います。

写真で表現する、ということ|りり

つまり私は演出家兼フォトグラファー、りりは演出家兼キャストですね。
私の感覚としても、キャスト陣に「Geranium.」という世界を演じてもらい、その世界を切り取らせてもらっているだけにすぎないなと常に感じていました。

「Geranium.」の世界はあくまでフィクションなので、もちろんキャスト陣の関係性も全てフィクションです。そしてキャストを被写体さんではなく、もともと仲の良かった友人達にお願いしたこともあり、Geranium.の内容と相まってキャスト陣同士の関係性を邪推されないかなという不安と葛藤は常にありました。そんなあるリスクがあるかもしれない中、作品づくりに協力し、世界観をつくり上げてくれたキャスト陣には尊敬と感謝しかありません。
(パートナーがいるキャストもいます。どうか本人達に邪推して連絡をされるのはご遠慮ください。再三お伝えしていますが、Geranium.の世界はフィクションです。)


だからこそ、切り取らせてもらっているにすぎない。
当時その事実にも葛藤がありました。だからこそ卑下した言い方をしていますが、「魅力を切り取り最大限に伝える」ことはこの創られた世界の中だけではなく、現実世界でも変わらず行っていること。
私のフォトグラファーとしての根底の部分にあたるのかなと感じるきっかけになりました。今回表現を突き詰めていく中で多くのことを言語化していったのですが、すごく腑におちた考え方でした。


シンプルであること。

展示とインスタでの投稿で大きく違う部分、お気づきでしたか?
それはヒロインの顔を写しているか否か。
インスタではあなたが主役だからこそ、あえてヒロインの顔を写していないカットのみを投稿しています。一方で展示ではヒロインの感情の動きによりリアルに触れてもらい、感じ取って欲しいと考えたため、顔の映ったカットも展示しています。

展示をするからこそ

メインビジュアル、配布物、文字入りの投稿など諸々のデザイン周りはほぼ私が担当しました。

こうやって見返してみると想像より量があっておどろき。
全部Figmaでつくってます、Figma大好き。

もちろん都度相談していましたが、感情に触れてもらうために会場をはじめデザイン周りはシンプルであることにかなりこだわりました。
特に今回は、花言葉が色ごとに異なるということもあり、できる限り写真以外の色を排斥しています。会場は白い壁で床がコンクリートの無機質な場所、デザインは白基調でできるだけシンプルに、これはずっと意識していたことです。

感情の動きを配置で表現する。

空間で魅せることができるからこそ、一番こだわりました。
写真を見ていってもらう中で、ヒロイン感情の浮き沈みに同調してほしい。
だからこそ、1/1000サイズで設計図を作成し、一番感情が沈む部分では目線が下がるようになど配置に細かな工夫をしていました。

これも、写真を魅せるエリアを極限までシンプルにしたから。
展示エリアとカードや小道具、オフショットの場所をできる限り分け、展示エリアは可能な限りシンプルにすることで、XY軸の動きをよりわかりやすくしています。

この携わってくれた人たちのSNSが載った名刺カード
かなり好評でうれしかったなあ……

写真で表現する、ということ。

表現はある程度自由でいいと思う。

これはあくまで私個人の考えですが
「写真の撮り方」について日々考える中で、よく正しさとは何かについて問うことがあります。
写真は記録を残すものではありますが、同時に表現をするためのツールでもあります。つまり、"自分のため"の作品であるならば、その撮り方は正解はないと思っています。知識は自由な表現のための手段です。

正直今回の写真たちはかなり自由に撮影したなと自負しています。
でも、りりと2人なりに「表現」を追求した結果たどりついた写真だからこそ、今回はこれが正解です。

「Geranium.」があなたのこれからの創作の一助となればとても嬉しいです。

こっちもぜひ

Geranium.を一緒につくった りり が作品についてすごく丁寧にまとめてくれています。わたしが説明しきれなかったこと、彼女だからこそ見ることのできる視点について書いています。ぜひこちらもご覧ください。

あらためて、たくさんの方のご協力の元成り立った作品だと感じています。
仕事でもない個人制作の作品に快く手を貸してくださり、感謝の気持ちしかありません。
写真を本格的にはじめて5年近く経ちます。私は元々自己表現は苦手でしたが、表現を続けていたりりと一緒に創ったからこそ表現の楽しさ、難しさ、面白さ、たくさん感じた1年間でした。

でも、まだ続きます。そして次もりりと一緒に、
そしてさらに多くの人たちと一緒に創っていきます。

もう次の展示まで2週間を切りそうです。

時の流れは早すぎますね。最近はもっぱらこっちの準備ばかりしています。

今回もクリエイティブ担当しています

Photo exhibition「Old.」
会期:2023.07.30 (sun.) 11:00〜16:00
場所:MICASADECO & CAFE KYOTO gallery
〒604-8057 京都府京都市中京区梅屋町(麸屋町通)480 2F

「古い記憶の断片」

この言葉をテーマにそれぞれの解釈を写真で表現しています。
ルールは「フィルムカメラかオールドレンズを使うこと」
たったそれだけ。

メインの3名の展示のほかに、1枚展示も出展いただいています。
ぜひ記憶を覗きにお越しください。

とても可愛いカフェの2階にあるギャラリーです。
入口はカフェと同じなので、到着した際は店員さんに写真展を見に来ました!とお伝えいただければ2階に案内してくださるそうです🌱

私の展示では「ハルジオン」と題して、はしけん(積分サークル)さんにご協力いただき追憶の中に生き続ける人をイメージし、柔らかな世界を演じていただきました。

展示終了日まではSNSでの公開写真は2点にさせていただきますが
後日、展示写真を一部公開予定ですので、ご来廊が厳しい方は是非そちらだけでもお楽しみいただけると嬉しいです!🫧✨


こちらも鋭意製作中です

公開は来年冬、会場はバーチャル(webサイト)おたのしみに。

#PhotoExhibition_flores


それではまたどこかで。


「Geranium.」に関係するnoteをまとめたマガジンはこちらから


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