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穏やかな強さを得る。 ウジャイ呼吸

こんにちは。作業療法士のshihoです。

今回は、サンスクリット語で『勝利』を意味するウジャイ呼吸のご紹介です。

心に揺らぎがある時・体の冷えを感じている時などにおすすめの胸式呼吸。
静かに燃え続ける、芯のある強さを心身に与えてくれます。



通常呼吸時には、声門の幅を広げ空気の通りを良くしますが、ウジャイ呼吸では声門の幅を均一に狭めた状態で呼吸を行います。
この特徴的な方法により、様々な効果が期待できます。



気管の入り口にある声門は通常、音声を発する時に狭め、呼吸の際に幅を広げ空気を通りやすくする。



ウジャイ呼吸の効果について

○声門を狭めることで、呼吸を聴覚的にも触覚的にも実感しながら行えます。これにより呼吸へ意識を向けやすくなります。

集中力が深まりやすく、呼気の延長が得られやすくなります。

瞑想状態に入りやすいことと同時に、声門周囲への感覚刺激により覚醒状態は維持されます(瞑想すると眠くなってしまうあるあるを予防)。

○呼吸の安定化は自律神経の安定化につながります。これにより心理状態が落ち着き脳波の安定化も図ることができます。

○狭い気道を通る空気は通常呼吸よりも温められた状態で肺へ送られます。これにより内臓も温まり、体温上昇の効果が得られます。冷え性さんにおすすめです。

○ウジャイ呼吸は交感神経を優位に導いてくれる胸式呼吸です。瞑想意識を保ちながら交感神経を優位に導いてくれるため、心理面では持続的で穏やかな強さを与えてくれます。

○横隔膜と肋間筋を働かせ肺により多くの空気を取り込める為に、細胞の隅々まで栄養を行き渡らせることが可能となリます。

○体幹深層筋の賦活内臓機能の活性化を図ることが出来ます。

○声門の幅を狭める=喉の筋力増強訓練。このために、いびき予防も図ることができます。


様々な効果が期待できるウジャイ呼吸なのですが・・・

行う前に・・・注意点

●お腹を引き締めながら行うので、食後すぐに行うことは控えましょう。

●高血圧の方にはウジャイ呼吸よりも副交感神経優位に導いてくれる完全呼吸法・片鼻呼吸(ナディーショーダナ)がおすすめです。

●喉を痛めないよう、声門を強く締め過ぎずに行いましょう。目安は自分にだけ心地よく聞こえる程度の音で。

●熱を作ってくれるウジャイ呼吸ですが、更年期障害などで火照りやすい状態の方が行うとかえって症状を悪化させてしまう可能性があります。そのような方には、今後紹介予定のシータリー呼吸がおすすめです。

●おへその下を引き締めながら行うので、妊娠中の方や生理中の実施は避けましょう。


行うタイミングについて

・寝つきが悪いとき
・不安に打ち勝ちたいとき
・朝起きてすぐ。シャキッとしたいとき



では、実際に行ってみましょう。

①あぐら位もしくは椅子に座り、骨盤を起こした姿勢を整えます。
お尻の下にクッションなどを敷くのも良いでしょう。

②背骨は頭頂から心地よく吊り上げられているように伸ばし、顎は軽く引きます。
首・肩の力は抜いて。

鼻から息を吸い胸郭を大きく広げます。横隔膜も押し下げるように。

④呼気は口を開けて、顔の前にあるガラスを曇らせるイメージで「はぁー」と吐きます。その際に喉の奥(声門)を軽く閉めて細く長く行いましょう。

⑤何度か繰り返すうちに喉の奥を閉める感覚が掴めたら、吐く時も口を閉じ鼻呼吸に切り替えましょう。

⑥鼻呼吸に切り替えたら、舌先を前歯の裏側少し上に置いた状態とします。吸気・呼気時ともにおへその周りの深層筋をキュッと引き締め、骨盤底を上方に引き上げた状態を維持しながら胸郭を大きく使って呼吸を継続します。呼吸音は「シュー」という音になるかと思います。



いかがだったでしょうか。

続ける時間は、5分程度行うと呼吸の安定化が得られやすいかと思いますが、ご自身の状態に合わせて無理なく行ってみてくださいね。

慣れるまでは胸郭の広がりやおへそ周り・骨盤底のことは一旦置いて、喉を閉める練習に集中してみるのもおすすめです。


慣れてきたら、徐々にアーサナ(ヨガのポーズ)にウジャイ呼吸を取り入れてみると、心身相関の効果でポーズに安定感が得られやすくなるかと思います。

また、前回までにお伝えした完全呼吸法(vol.2)やナディショーダナ(vol.3)のような長く行う呼吸法の際にウジャイを使いながら行うと、より呼吸への意識が深まりやすくなります。


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