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健康増進を目的としたヨガの適応対象は?


これまで、八支則や人間五蔵説といったヨガ哲学をご紹介し、西洋医学的観点からも認知〜情動反応による自律神経反応の機序について触れました。

今回はそれらを踏まえ、ヨガによる健康増進の適応対象について考えてみようと思います。

「心身ともにとっても健康です!!」という方にとってヨガは、更なる自身の未開拓部分を覚醒させ人生をも変化させるような効果があると思うのですが・・・

作業療法士としては、やや心身に困難を抱えた方々の中から、その適応対象を考えてみたいと思います。



人間五蔵説を踏まえた疾患発症の簡単な機序:

各器官の反応(自律神経反応もここに含まれる)は、記憶を元に作られた理智に従い生じている。
このため、トラウマなど、陰性の判断基準が多くあると理智〜身体反応も陰性に偏りやすく、それらの蓄積により心身症に起因する疾患を起こしてしまうことがある。

人間五蔵説では、誰でも根底には愛と至福に溢れた純粋意識に満ちた真我を潜めている・ただ、色々な経験の中で防衛的な反応を生じるうちに真我を覆う各鞘にくもりが過度に生じた時、疾患が生じるとされます。

パンチャ・コーシャ(5つの鞘)のおさらい

内側から・・・
歓喜鞘:純粋意識
理智鞘:蓄積された記憶からなる価値観・思考の元となる情報がある
意思鞘:心の反応の部分・意識のフォーカスにより変化する
生気鞘:経絡の中に流れるプラーナ(気)
食物鞘:肉体

西洋医学的思考の頭には「え!!『肉体』ってそれだけで済ませるん?」とショッキングですが、おおらかに捉えれば、少し視点が異なるだけなのかなと思います。
表現方法は違えど、西洋医学的にも『それぞれの認知により自律神経反応が変化すること・過度なストレスの蓄積がその機能を狂わせ疾患につながること』は同じかと思います。

西洋医学では肉体の器質的な部分にフォーカスして数値的に捉えることがセオリーなので、ヨガ哲学の捉え方に拒否反応を生じてしまう方もおられるかもしれませんが、精神的ストレス要因のトラブルに目を向けると、この表現は自然なようにも思えます。



ヨガによる健康増進効果が得られやすい対象(健康に問題のない方が行ううえで多いにヨガの恩恵を受けられることは前提で)は、心身症や精神的ストレスに起因する要素の大きい疾患であり、特にその状態が重ければ負荷量の調整や手段の選択など、リスク管理は充分に行う必要があるかと思います。
器質的に深刻な状態の疾患には西洋医学の観点でしっかり数値的にエビデンスに基づいた介入を行う必要があることは言うまでもなく、状態に応じ適切な健康増進法や治療的介入を選択できれば良いですね。

話は戻りますが・・・

ヨガは、以下の3つの手段で心・気・体を整えることで各鞘にアプローチしポジティブな心身の反応を習慣化することで、長い目で見た健康的・幸福的な人生を目指す健康増進法となります。

・調身=体のくもりを取りのぞく(アーサナ)
・調息=気のくもりを取りのぞく(プラーナヤーマ)
・調心=心のくもりを取りのぞく(瞑想)



また、その過程での心がけ・ステップとして以前触れた八支則があります。



まとめ:ヨガは予防医学的観点での効果が高く、長い目でゆっくりのんびり取り組んでいく心身の健康増進法です。

適応対象としては、心身症といった精神的ストレスに起因するトラブルに対し健康増進効果が得られやすく、器質的なトラブルがある場合は負担が過度にかかり過ぎぬよう十分配慮して行う必要があります。

健康面に問題のない方については、心身相関により一層の健康増進効果が得られます。

状態に応じた手段で皆様の心身の健康や幸福が繋がっていきますように。




最後まで読んでいただき有難うございます。

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