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おならや腹部膨満感を減らす方法:整腸剤の解説(5)


腹部膨満感とは何か

これまで解説してきた整腸剤の効能効果は主にこの3つです。

・便秘
・軟便(下痢)
・腹部膨満感

便秘と下痢はわかるけど、「腹部膨満感」とは何でしょうか。

腹部膨満感とはお腹の張りで苦しい、痛いなどの症状で、腸内にたまったガスがお腹を圧迫して起こります

私はつい先日、直腸まで便が下りてきて直腸から脳に信号を送っているにもかかわらず、便が硬くてまったく出ずに10時間以上過ごした経験があるので、固体と気体の差はあれど出すに出せないこの苦しみは他人事ではありません。

腸内にたまったガスとはいわゆる「おなら」です。おならがたまる原因は2つあります。

・腸内環境が乱れて腸が正常に機能していない
・便がふさいでおならを排出できない

おならは腸が正常に機能していれば、そのほとんどは腸管に吸収されて呼気(呼吸の吐くほう)として排出されるのでたまることはありません。

なので腹部膨満感を感じて苦しくなったら「腸内環境の乱れ」のサインかもしれません

おならの正体

腸内にたまるガスのほとんどは食べ物と一緒に飲み込む「空気」で、その他は腸内細菌が食べ物を分解するときに発生するガスです。

つまり腹部膨満感が起こるのは腸内環境の乱れによる吸収排出の低下と、空気やガスの発生のバランスが乱れることが原因です。

腸内環境の乱れは「整腸剤」の専門分野ですが、薬以外でも私たちにできることや気をつけることで腹部膨満感を防ぐことができます。以下にその点をまとめます。

1.ゆっくり食べる
腸内にたまるガスのほとんどは食事のときに一緒に飲み込んだ「空気」です。

そばやラーメンなど「すする姿」を想像してみてください。麺をすするために大量の空気を吸い込むのでそれが体内に入ります。かめばその分空気は逃げますが、麺をすするときってそもそもよくかむでしょうか。

腹部膨満感がよく起こる、今現在起きている人はそれが収まるまでしばらく麺類は控えましょう。

麺類だけではありません。ご飯でもおかずでもかき込んで食べれば一緒に空気を飲み込みやすいのでゆっくり、よくかんで食べることを意識すれば体内に入る空気は少なくなります。

2.炭酸飲料は控える
炭酸飲料のあのシュワシュワは「二酸化炭素」です。

当然ながら炭酸飲料を飲めば二酸化炭素が体内に入るわけで、腸の機能が低下してガスが排出されにくい状態ならばお腹にガスがたまります。

特に気をつけるのは「お酒の席」です。ビールやサワーの炭酸も二酸化炭素なので、日中は気をつけていても夜になれば気が緩んで「ゴクゴク」と、思わず飲んでしまいます。

このゴクゴクが空気を飲み込む音です

健康な状態ならいざしらず、腹部膨満感があるうちは炭酸飲料は控えましょう。

3.肉や揚げ物、添加物を控える
肉類は動物性たんぱく質を、揚げ物は脂質を多く含みますが、これらは「悪玉菌」のエサです。それらを食べれば悪玉菌は増えていき、腸内環境は乱れます。

その他にもカップラーメンやコンビニ弁当に含まれる食品添加物、ハムやベーコンなどの加工肉も腸内環境を乱す原因となります。

腹部膨満感が起きているうちは腸内環境を乱す食べ物は避けたほうが賢明です。

4.適度な運動をする
お腹にガスがたまるのは腸の「ぜん動運動」が低下してガスをお尻から排出できないからです。

これは便秘にも当てはまりますが、便秘とはぜん動運動が低下して腸内に便がたまった状態です。便秘によって次のようにガスがたまりやすくなります。

・便そのものから発生するガス
・悪玉菌が便をエサにして発生するガス
・便そのものが邪魔をしてガスが排出できない、など

これを改善するためには、腸を動かすしかありません。薬に頼らず、薬が効く前に腸を動かすには2つの方法があります。

1.運動をする振動で腸を動かす
2.お風呂に入って血行を良くして腸を動かす

私は「糖尿病」の記事を書いた前後からおかずを食べる前に「まずサラダ」を食べています。そのせいか、毎朝走りにいくときにお尻からおならがよく出るようになりました。サラダを食べる前と比べるとおならが出る回数は格段に上がっています。

悪玉菌は動物性たんぱく質や脂質を分解してガスを発生させますが、善玉菌も糖や食物繊維を分解してガスが発生します。

腸内細菌がガスを発生させるのは止められない

ガスを発生させるのを止めるのでなく、ガスを排出できるように「自律神経」をコントロールすることに気を配るべきです。

ウオーキングやジョギングなど軽めの運動でも腸に振動は伝わりますが、その他にも以前紹介した3つの腹筋、

・プランク
・エア自転車こぎ
・ツイストクランチ

これらも腸に刺激を与えます。特にエア自転車こぎやツイストクランチはお尻を上げるのでガスが排出されやすくなります。

自分でできることをまずやってみて、少しでもおならや腹部膨満感を解消しましょう。

自分で解消できればそれで良し、それをした上で医薬品を使えば効果はさらに高まります。

ぽっこり整腸チュアブル



成分
3錠(15歳以上1日服用量)中
・ビフィズス菌30mg
大腸内のガス産生菌である悪玉菌の増殖を抑えて腸内環境を整えます
・ラクトミン(乳酸菌)30mg
小腸内のガス産生菌である悪玉菌の増殖を抑えて腸内環境を整えます
・ケツメイシエキス120mg
ケツメイシ(生薬)1200mgより抽出
腸のはたらきを整えて、便を出しやすくします
・ジメチルポリシロキサン180mg
腸内にたまったガスの気泡をつぶして、ガスによるお腹の張りを改善します
・パントテン酸カルシウム34.6mg
パントテン酸カルシウムとして22.5g
ビフィズス菌の増殖、乳酸菌の生育をサポートします

用法用量
次の量を4時間以上の服用間隔でかむか、口中で溶かして服用してください。
水無しで飲めます。
食前食後に関わらず、お腹の張りが気になったときにいつでも服用してください。

・15歳以上1回1錠、1日3回

相談すること
1.次の診断を受けた人は服用前に医師に相談してください。
フェニルケトン尿症

2.2週間位服用しても症状がよくならない場合は医師や薬剤師に相談してください。

毎日服用しても大丈夫か
この商品はジメチルポリシロキサンやケツメイシを含む医薬品です。

ジメチルポリシロキサンはガスの気泡をつぶして腸に吸収、排出されやすくする成分です。ケツメイシは軽いしゃ下作用(便を出しやすくする作用)があります。

第3類医薬品なので副作用は比較的少ないですが、ときどき間隔をおくなどして症状が出たときに服用してください。

ガスピタン



成分
1日量(3錠)中
・フェカリス菌(ラクトミン)24mg
・アシドフィルス菌(ラクトミン)54mg
・ビフィズス菌24mg
・ジメチルポリシロキサン180mg
・セルラーゼAP3 180mg

成分の特徴
・フェカリス菌とアシドフィルス菌が小腸の、ビフィズス菌が大腸の善玉菌を増やしてお腹の調子を整えます。

・ジメチルポリシロキサンがガスだまり(ガスが集まったかたまり)を形成する膜を薄くしてガスだまりをつぶす作用によってガスが腸で吸収されやすく、排出されやすくなります。

・セルラーゼAP3は食物繊維を分解してガスの発生を抑えます。

用法用量
・15歳以上1回1錠、1日3回
・食前または食間(食事と食事の間の2~3時間)にかみ砕くか、口の中で溶かして服用してください

相談すること
・服用後、下痢が持続または増強がみられた場合は服用を中止して医師か薬剤師に相談してください。

・2週間以上服用しても症状がよくならない場合は服用を中止して医師か薬剤師に相談してください。

毎日服用しても大丈夫か
安全性の高い成分ですので、長く飲んでも身体に負担がかかる成分はありません。

ガスピタンは自分で体調をみながら服用する第3類医薬品です。間隔をおいて、症状が出たときに服用してください。

医薬品に対する私の考え方

今回解説した2つの医薬品にはどちらも「ジメチルポリシロキサン」が配合されています。ジメチルポリシロキサンはガスの気泡をつぶしてお腹の張りを和らげる成分です。

お腹の張り、つまり腹部膨満感がないのに毎日継続して飲む必要があるのか、というのが私の意見です。

これは私が最初に「解熱鎮痛剤」の解説を取り扱った影響もあります。鎮痛剤は予防として服用するのはNGです。

今日会議があるからと、頭痛がないのに鎮痛剤を服用すればそれが習慣になって今度は鎮痛剤が頭痛の原因になります。

ジメチルポリシロキサンはロキソニンやイブプロフェンよりもずっと副作用は少ないですが、医薬品の基本的な考え方として、

必要のない成分は服用しない

症状がないのにそれを鎮める成分を服用すれば副作用のリスクが高くなります。

今回の腹部膨満感もそうですが下痢や便秘も本来、規則的な「生活習慣」を続けていて適度な運動がそれに組み込まれていれば元々起こらなかったかもしれません。

そうはいっても症状が改善することが先決なので薬を使った後にでも生活習慣をできるところから見直して、それを実践していきましょう。



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