日本の『ファッション業界』建て直しの提案【その1】。
ニッポンのファッション業界が危機的状況だ。何度も触れてはいるが具体的にビジョンを出して行こうと思う。
まずはファッション市場縮小の原因
①長く続く経済的停滞と所得格差の拡大
➁デジタルギア&通信・クラウド支出増大でモノへの支出シェアと利用時間シェア縮小
③廉価型SPAやファストファッションの台頭
④シェアエコノミー(メルカリやエアクローゼット)普及による中古販売とレンタルのシェア拡大
⑤オンラインモール、ECへのチャネルシフト、値引き合戦
とそれを可能にするローコストオペレーションの一般化
⇒それによるアイテム購入単価の下落
⑥ベーシック主義・汎用着回し主義の台頭
⑦ドレスマインド、エレガンスマインドからカジュアルマインドへのシフト
⇒ビジネスシーンでのドレスコードの緩和、特に夏季の会社でのカジュアルシフト
⑧天然繊維ファブリック中心から化合繊テクノロジー進化も相まってテック素材へのシフト
⑨イージー&ストレッチ&サイズ調整型機能拡大でサイズ展開の縮小とサイズ在庫リスクの縮小⇒消化率アップでローコスト化
⑩キャリー在庫のオンライン処分とそれによるオンライン常設アウトレット化(年間での値下げ常態化)
⇒これによるファッションのシーズン性低下。春夏に秋冬モノ、秋冬に春夏物が売れる状態へ。
など市場側の要因と業界側の要因が色々複合されて、単価ダウンと市場縮小が起こっている。
ただ、筆者の私見ではあるが停滞の背景にあるのは、
ファッション業界側のデザイナー、マーチャンダイザーやFA(店舗スタッフ)、プレス、スタイリスト、雑誌編集者、セレクトショップ経営陣、アパレル経営陣、業態開発担当、売場開発担当…などの業界人が、今の時代潮流をきちんと先読みして対策を施さなかったこと、すなわち……
①従来のファッションの魅力であったはずの
テイストやデザインの幅の啓蒙、シーン(TPO)メイキング、アイテムミックスによるお洒落の楽しみ方
➁新しい時代潮流である
生活空間やレジャー、シェア空間でのコト志向の楽しみ方、デジタルやSNSとのシームレスな融合
を生活者に対してちゃんと提案してこなかった怠慢が露呈したと思ってる。
ファッション商品を
生活シーンや生活ステージを潤わす「ライフスタイル商品」ではなく、
ちょっとデザインに気を使ったコモディティ(生活必需品)に
失墜させてしまった のだ。
実を言えば、ファッション市場がカジュアル化したり、一品単価が下がること自体は、時代の趨勢や技術の進歩もあるので一概に悪い事とは言えない。
しかし、
ファッションの楽しみ方の幅が狭まったり、そもそも趣味性が薄れてコモディティ(日用雑貨と同様の生活必需品)化していること、
これは衣服という文化を捨てることになるので勿体ない気がする。
「服に文化とかアート性とか品質とか要らないんじゃない?」と言ってしまばまあそれまでだけど、だとしたらどこにそれを求めるのかしら?
筆者はクリエイティブ好きなので、まあ対象は音楽でも絵画でも小説でも映画でもルームデコレーションでも良いとは思うのだが、服・装いという選択肢が無くなるはやっぱり惜しいかな?
なので個人的には、
もしデジタルやコンテンツの市場が伸びるのならば、それとシームレスに連動させてでも、ファッションカルチャーは残したい。そもそもスマホに10万円以上払って、通信費に年間10万円以上払って、デジタルのサブスクリプションサービスに気づくと年間5万とか払ってることに実は消費者は気づいてなかったりする。
アパレルというモノを残したいわけじゃなくて、装う、着ることで自分を演出する、着ることで変身する・マインドを変える、テイストを楽しむ…という文化を残したいわけだ。