#547 ミドルシニア以降における「新たなキャリアの課題」
竹内義晴の「これからの働き方」――この番組は、これからの働き方、組織作り、地域づくりの実務家、竹内義晴が「楽しく働く」をテーマに、組織づくりやコミュニケーション、マーケティング、キャリアデザイン、複業、テレワーク、ワーケーションなどの視点でゆるゆるとお話をしていく番組です。
音声はこちら。
昨日は、「改めて考えたい『社員のキャリアを考えたとき、これから企業に必要なこと』」というお話をしました。
今日はこの続きです。「ミドルシニア以降におけるキャリアの課題」についてお話をしてみたいと思います。
いま、スライドにまとめながら話をしています。まだ、精度としてはそんなに高くないかもしれないのですが、まずは言語化したものを皆さんにお伝えしていこうというものです。
相当時間がかかっているので、このペースでやっていると、明日とか、明後日とか、大丈夫なのかな? という気もしなくはありませんが(笑)、取り急ぎ始めてみたいと思います。
これまでの企業における人材育成
というわけで、今日は「ミドルシニア以降におけるキャリアの課題」という話なんですけども、これまでの企業における人材育成というのは、主に、社員を役職や等級、年齢、勤続年数、取得したスキルなどによって階層分けし、その階層ごとに必要な知識とかスキルを習得させようとする階層別研修が一般的によく行われていたんじゃないかなと思います。
階層別研修を行う際、若年層に向けた研修は比較的たくさんあります。社会人としてのマナーや業務のスキル、課題発見力など、そういった研修内容は比較的組みやすいし、充実しているケースが多いんじゃないかなと思います。もちろん企業規模によって違いますけどね。
一方で、ミドルシニア以降というのは、業務スキルというよりは、リーダーシップやマネジメントに関する内容が主体になってきて、個人のキャリアに関する教育は少なくなっていきます。
そこは、個人に委ねられていく……というのもあるし、ミドルシニア以降は役職的に、人をどうまとめるかという業務が増えていくので、個人のキャリアを磨くというよりは、リーダーシップとかマネジメントが必然的に増えるということです。
人生が80年の、定年が65歳の、今までの働き方だったら、さほど問題にはなかったんじゃないかなと思います。なぜならば、今までの「教育→勤労→引退」という、人生が3つのフェーズのパターンであれば、退職後から人生を終えるまでの期間がそれほど長くないために、退職後に年金と、退職金があれば、企業はそこまで社員のキャリア、ミドルシニア以降のキャリアについて、そんな深く関わる必要がなかったんじゃないかと思っています。
これからは、会社の負担が大きくなる
一方で、人生100年時代と言われるようになり、定年も伸びている中で、今後、企業はミドルシニア以降の人材と関わる時間が必然的に長くなるなぁと思っていて。
ミドルシニア世代以降の人材育成とかキャリア形成が本人任せだと、人材を有効に活かせられません。また、会社としては、定年退職が長くなり、ミドルシニア世代以降との関わりが長くなる分、会社にとっての負担が大きくなるなぁと思っています。
それを解決しようとするのがリスキリング
こうした問題を解決しようという取り組みの一つがリスキリングです。
経済産業省の資料にリスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―というものがあります。資料自体はリクルートワークス研究所さんが作られた資料のようです。
リスケリングには、次のような記述があります。
ここに書かれている内容は、「本当にそうだな」と思います。
一方で、実際問題、ミドルシニアにとって、今話したようなデジタル化をはじめとした。まったく異分野の新たなスキルを身につけるのは、言葉では理解できるものの、実際問題は結構難しい話じゃないかなと思っていて。
あるいは、身についたとしても、すぐに業務ができるわけではないと思うんですよね。
資格を取っても仕事はできない
例えば、何かしらの資格を取るとします。資格というのは、いわゆる知識を身につけたということですが、その知識があるからといって、必ずしもすぐに業務ができるわけではない……というのが実際のところだろうと思います。
また、資格を取るぐらい知識を身につけられればまだいいけれども、全く異分野の仕事をしていた人が、急に「デジタル化だ!」と、あるいは「DXだ!」と言っても、なかなかすぐに、そういった業務ができるかというと「できないんじゃないかな」と。
というわけで、ミドルシニア以降は、今までの経験を活かすような形の、新たなキャリア形成の形が本当は必要なんじゃないかな……というふうに、僕は思っております。
リスキリングは大切だけど、実際のところは、新たに必要とされる分野の知識を身につければいいでしょ? というわけでもないと僕は思ってます。
というわけで、今日の話はこれで終わりにしたいと思います。