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#38 取り組んでみて分かった地域複業の課題:企業編【地域複業の可能性】

竹内義晴です。この番組は組織作りやコミュニケーション、キャリアデザインなどの人材育成、複業やテレワーク、2拠点ワークといった「これからの働き方」についてゆるゆるとお話をしていく番組です。

ゴールデンウィークも終わりまして、今日から仕事という方も多いのではないかなと思います。この番組もですね、連休中はややゆるめな話もしていましたが、今日から通常モードに戻ろうかなと思っています。

地域複業のお話をしています

いまですね、この番組では、地域で複業をする「地域複業」のお話をしています。地域複業というのは、地方をはじめとした地域の企業に、地域外の人たちが複業のような形で関わることで、地域の企業に貢献しつつ、自分自身のキャリア、第2、第3のキャリアにつなげていく、そんな取り組みであるという話をこれまでしてきましたよね。

ボクが地域複業に関心を持ち出したのは、サイボウズで複業を始めた2017年からですね。ボクは都市部の企業に新潟からフルリモートで働いていますけれども、「もしも、この逆ができたら、地域の企業にとっても、都市部をはじめとしたさまざまな地域で働く人たちにとってもいいんじゃないかな」と思って、この取り組みに関心を持ち始めた……という話をこれまで何度もしてきました。

2017年から取り組みを始めて、それから「こういった働き方に関心がある人たちがいるのかな?」と思って、都市部で2拠点生活とか、2拠点ワークに関心がある人を集めてイベントをやってみたりとか、イベントに登壇して「こういう取り組みが必要じゃないかな、と思う」という話をしたりとか。

あと、ボクはサイボウズ式というサイボウズの自社メディアで記事を企画したり、自分で書いたりもしているので、そういったところで情報発信をしたりとかしてきました。

地元で地域複業に取り組んでみることに

そういった取り組みをしている中で、ボクの地元は新潟県妙高市というところですけど、地域の中で関心を持ってくださる方がいたりして、2021年から地元の妙高市で地域複業の取り組みができることになったんですね。

2021年からそういった取り組みをしてきて「ボク1人じゃあ、できないかな」と思ったので、複業人材チームというのを募集して、実際にどんな取り組みができるのか。その中で議論を重ねつつ、地域の企業のみなさんに「こういった働き方があるんですよ」というような話をしたりしながら、このマッチングというのを2021年から取り組んでみたわけですね。

ボクが描いた「地域複業の理想形」

ボクが理想とした複業マッチングというのが、もしあるとするならば、単なるお金稼ぎというか、単なる人材マッチングではなくて、「思い」とか「共感」ベースで地域の企業と地域外の人たちがつながるといいなって思ったんですよね。

ボクがサイボウズで複業を始めた最初のきっかけというのが、サイボウズの理念は「チームワークあふれる社会を創る」が理念の会社なんですけど、理念に100%共感したんですよね。だから、「この会社で働いてみたい」と思ったと。そういう感じが理想だったんですよね。

なので、地域の企業にも、さまざまな思いを持った企業がきっとあるはず。そういった、さまざまな企業の人たちの「思い」とか「理想」とか、「こんな風にしていきたいんだよね」っていう話を聞きながら、そこに共感してくださる地域外の方々とつなげられたら最高だな……というふうに思って、取り組んでみたんです。

取り組んで分かった地域複業の課題:企業編

ただですね、実際に取り組んでみると、いくつかの課題があることに気がつくんですよね。課題っていうのは、大きく分けると2つあって、1つ目は「地域の企業側の課題」ですね。具体的にどういう課題があるかというと、いろんな取り組みはしてみました。

たとえば、具体名はあえて避けますけれども、いわゆる商工団体っていうのがあるじゃないですか。さまざまな企業が参加している団体です。そういったところに出向いて「複業という働き方があるんですよ」と。「都市部をはじめとして、複業のような形で働くことを望んでいる人たちが結構います」と。

この「結構います」っていうのは、自分でイベントをやってみて、肌感覚として複業のような関わり方をしたい人たちって結構いるな、ということを知ったっていうのもあるし、2021年はコロナ禍の真っ只中で、リモートで働く人が増えたり、通勤時間がなくなったりしたこともあって、複業のような形を望む人たちがデータとしても増えていたんですよね。なので、そういった話をしたりしたんです。

【複業(副業)に関する意識・実態調査】withコロナ時代を乗り切るのは 複数の仕事やキャリアを持つ“パラレルワーカー” コロナ禍で複業(副業)をしたいと思った人は約半年で8%増加! | ニュースリリース | パーソルプロセス&テクノロジー株式会社【複業(副業)に関する意識・実態調査】withコロナ時代を乗り切るのは 複数の仕事やキャリアを持つ“パラレルワーカー” コロナ禍で複業(副業)をしたいと思った人は約半年で8%増加! - ニュースリリース 更に、約半数以上の管理職が部下に対して「自分のキャリアの可能性を広げてほしい」と回答。管理職も“パラレルキャリア”を後押し www.persol-pt.co.jp

でも、都市部の企業と比較すると、地方の企業はこの「複業」という考え方に対する認知が低かったり、さまざまな商工団体で話をしても、話の理解はしてくださりますが、自分ごとにはなかなかできずに、自分たちで「こういった取り組みがありますよ」っていうのを伝えられない。その結果、その先に広がらない……っていう課題感があったりとか。

あとは、セミナーをしても、なかなか理解が得られない。よくあったのが、「それは、うちではいいかな」っていう感じ。「うちが欲しいのは手足を動かす人手の方で、ITとかマーケティングって言われても…」みたいな感じだったりとか。

他には、実際に企業が見つかったとしても、マッチングってやってみないとわからないので「実際にそういう人っているんですか?」っていう話になったりとか。

あとは、これがもっとも大きな課題かもしれないんですけど、マネタイズしにくいんですよね。こういった取り組みをするためには、ちゃんと事業としてお金を回していく必要がありますけれども、複業人材って、そんなに単価が高くないんですよね。

「単価が高くない」っていうのは、たとえば、フルタイム、週5日間働く方々だったら、年収って数百万単位だと思うんです。一方で複業の場合は、週に1日とか2日みたいな関わり方をした場合、フルタイムで働く人たちよりも多くないじゃないですか。5分の1か5分の2ぐらいで。

一方で「複業」という働き方を企業に理解してもらったり、あるいは、会社にずっといるわけではないので、どの仕事をやってもらうのかを切り出したり。あと、このような内容をていねいに説明したり、信頼関係を構築したりしなければなりません。このように、手間が掛かる一方で、複業人材を募集してマッチングをしたときに、もともとの単価が5分の1とか5分の2なので、業務としてちゃんと回していくためには、収益を得にくいっていう問題があって。

このように「認知の問題」や「知らない・関心がない」「複業人材を活用することで業務改善できるという発想にまで繋がらない」「マネタイズしにくい」――そういった問題があったなという感じなんですよね。

「ほかの地域はどうなのかな?」と思って調べてみると、やっぱりいろんな地域でこういった課題感はあるようでした。というのも、いま、複業人材って、結構いろんな地域で取り組みあるんですよね。実際に取り組んでいる方々にヒアリングしてみても、やっぱり同様の課題があるっていうことを耳にしました。

そこで、「そうか」と。「やっぱり、こういった課題があるのか」っていうのが、企業側の課題でしたね。

あとですね、人材側にも課題があって。今日は時間が10分過ぎたので、地域複業に関する人材側の課題については、また明日お話ししたいと思います。

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