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【CF実行者インタビュー#02 】「給料を自分たちで稼ぎたい」クラウドファンディングに必要な、挑戦の意志とタイミング

プロジェクト名:観光と保全を結ぶ、環境保全を感じる体験会場を鳥取県南部町に作りたい


2019年に設立した鳥取県の南部町で野生動植物の環境保全を行う『里山生物多様性プロジェクト』は、代表の野口浩二さんを中心に、学生から社会人まで16名で構成されるメンバーで活動を行っています。活動の一環として環境保全を感じる体験会場を鳥取県南部町に作るべく、シゴト場カケルの伴走サポートを利用してクラウドファンディングに挑戦しました。結果的に目標金額を上回る1,597,000円を集めることに成功し、絶賛プロジェクト進行中です。

今回は、なぜプロジェクトを始めてクラウドファンディングに挑戦したのか、シゴト場カケルの伴走サポートを利用した感想などについて、代表の野口さんにお話をお伺いしました。

(クラウドファンディングプロジェクトページはこちら「観光と保全を結ぶ、環境保全を感じる体験会場を鳥取県南部町に作りたい」)

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野生動植物の保護でお金を稼げる、ということを示したかった


-プロジェクトを始めたきっかけはなんですか?

野口さん:南部町の自然観察指導員の桐原さんとのザリガニパーティーですね(笑)
2019年頃、事業をやっていく中でうまくいかない部分が出てきて「ないものを作る」よりは「あるものを活かす」ような南部町のローカルコンテンツを活かした仕事をしていきたいと思い始めていた時期でした。色々アンテナを広げる中でたまたまザリガニパーティーを見つけたんです。そこで南部町にいる生物の魅力の話を聞いて、桐原さんの活動をいいなと思い始めました。


ただ、2019年11月頃にフェイスブックで桐原さんが「この活動を続けるのは無理だ」と呟いており、状況を確認するために色々お話を伺う中で「鳥取県の貴重な文化が継承されずに消えてしまうかも!」という危機感を感じました。そこには大きな問題として給料のことがあったんです。1人の活動では絶対に1人が生活していく給料は得られないと考え、桐原さんを代表とした「里山生物多様性プロジェクト」を作ったんです。設立した直ぐは上手くいかなかったです。やり方の違いからすれ違いが生じて会員が辞めていきました。最終的には会員は僕だけになりました。1人になっても活動を続けたのは、話をしていく内に動植物保全の活動が自分ごとになっていっていたからです。桐原さんが代表を代わっても強力に支援してくれたことが大きな支えとなりました。


1人で活動を始めてからまーしー(クラウドファンディング地域キュレーター)に出会って、クラウドファンディングの相談をしました。しかし当時、桐原さんの名前を出さないで活動の価値を伝えることには無理がありました。一旦クラウドファンディングをやめまして、1年間補助金を使って田んぼビオトープを作るという活動をに注力したんです。その成果もあってある程度実績も積むことができたので、改めてクラウドファンディングを申し込みました。


ただ絶対クラウドファンディングじゃないといけないわけではなかったです。補助金も貰っている中で、わざわざクラウドファンディングを選んだのは、この会を設立した理由でもある「給料を自分たちで稼ぎたい」という意図がありました。僕たちの活動を詳しく知らない町の人たちは「野生動植物の保全で食っていけるわけがない」と思っていらっしゃるんですよね。だからクラウドファンディングで野生動植物の保全という活動に対して、人がお金を出してくれるという結果を出したかったんです。

※「地域キュレーター」:クラウドファンディングプロジェクトの立案から達成(ファンディング終了)まで、実行者と一緒になって走る、鳥取地域に根差した専属の担当者です。


伴走サポートが、心に寄り添うパートナーに

-実際にクラファンをやってみて気づいたことはありますか?

野口さん:強いて気づいたことといえば、まーしーが「このくらいの時期に、このくらい集まっていないといけない」というようなことを教えてくれたのはすごく心の安定感につながりました。
あと最初はこの内容でみんながお金を出してくれるかわからなかったんですが、クラウドファンディングの募集開始する1ヶ月くらい前に、関係する人に「こういうクラウドファンディングをするので支援してくれませんか」というメッセージを送ったんですが、その時点で内容を聞かずに「いいよ」と言ってくれる人が結構多かったんですよ。それで、大体集まるんじゃないかと見通しが立ちましたね。


-カケルでは地域キュレーターによる伴走サポートや、クリエイティブサポートもさせていただきましたが、それぞれどのような印象を持たれましたか?

野口さん:まーしーと川ちゃん(クリエイティブサポートメンバー)がタイプが違うんで面白かったですね。川ちゃんはクラウドファンディングの支援につながる動画とは何かを聞いた話からポイントを探って考えられており、いいものを作って結果を残そうというタイプでしたね。文章だけでは伝えきれない活動の主旨や思いを動画にすることで、伝えることが出来たと思います。実際、保全と観光って何?保全するなら観光地にしない方が良くない?と言っていた方が動画を配信した後に支援してくれました。まーしーは気分を盛り上げたり、不安な時に手を差し伸べてくれたりと、ほんとに横にいて伴走してくれる感じがありました。それぞれの役割が理解しやすく、僕も安心してお任せできましたね。


-伴走があったことで、本来一人でやっていたら不安になりそうなことが軽減されたということですか?

野口さん:そうですね。ほんとにお願いしていなかったら病んでたかもしれないです(笑)
元々まーしーが関わっているプロジェクトが成功しているのは知っていたので、この人に頼んでるんだから大丈夫だろうと思っていました。実績で安心感を得てましたね。
ただ、終わった後はガクンとくる疲れがあったり、お金が集まったことで会員さんたちがどう言うふうにみるんだろうとか不安で…そのタイミングでお礼もしていかなきゃならなかったので、その時が何気に辛かったかもしれないですね。


-クラウドファンディングが銀行の融資や補助金と1番違うのは、人の顔が見えるお金という点なので、その分プレッシャーがありますよね。そこに不安感を感じられたのかもしれないですね。

野口さん:そうですね。ただそれは嬉しい面もありました。直接支援をしてくれる人の顔をみると「本当にありがたいものだ」と思い、これまでそんな経験もなかったんで「本当にお金を支援してくれる人がいるんだ」という驚きも感じましたね。

キュレーターの助言が、メンバーの新たな気づきに繋がる

-今回のプロジェクトは、チームとして、学生さんや社会人の方など「関わる人が多かった」印象があります。関わる人が多い中で進めることの大変さはあったりしましたか?

野口さん:またまーしーに対していいことを言ってしまうんですけど(笑)
僕は「みんなの意見を聞いて進める」ということを考えていたんですが、「日数のこともあるので野口さんが先にどんどん決めていった方がいいですよ」とまーしーに言われて、割り切って進めることができたのがすごくよかったですね。


また、ご提案いただいた「日替わりで会員のメッセージを寄せてもらう」は評判が良く、会員の人達にとっても自分の活動を知って評価してもらうことで、活動の価値を実感するきっかけになりました。運営する上でも、会員のモチベーションを高める上でもアドバイス頂いたことは的確だったと思いますし、うまく活用できました。


あと気をつけていたのは、会員さんにあまり負荷をかけないということです。無理に勧誘活動を頼んだりして、燃え尽きちゃったりしたらいけないので、終わった後のことを考えながら会員さんに対しては働きかけていましたね。そのあたりのことも、まーしーに言われていたのかもしれないです。

空気感を読み取って、「時」を待つ

-クラウドファンディングを終えて約5ヶ月くらいですが、プロジェクトが実際にスタートしてどんな感じですか?


野口さん:この前、体験会場のコンセプトに合った4箇所の候補地をメンバーとみに行ったのですが、4箇所とも良かったので全部でやろうと思っています(笑)場所によってはあまりにも環境として重要な場所があるので、2箇所は保全して公開し、もう2箇所は一般的には公開しないという形で、場所を分けて進めていきます。今は里山保全で1番大事な草刈りのタイミングと、それを会員さんにやってもらうかどうかを調整中です。草刈りに関しては怪我の危険も伴うのですが、自分たちでやる体験が大事だとも思うので、保険をグレードアップしたりトレーニング体制でカバーできるようにしたいですね。


-コンセプトはどんなものですか?

野口さん:今回のコンセプトは会員の大生さんが考えてくれました。「希少性の高い水生昆虫が避難できる場所として、素掘りの水が溜まっていくとこを作っていこう」というのがコンセプトです。欲が出てきて水生昆虫だけでなく、サンインサンショウウオの避難地も作ろうとしていて、両方とも進めることになりそうですね。特徴的な水生昆虫の避難地を作り、そこで水石昆虫を集めて絶滅から遠ざけることをしていきます。


-一度クラウドファンディングの実施を踏みとどまったという経緯も踏まえて、今後クラウドファンディングを考えている方へのメッセージを是非お願いします!

野口さん:最初にクラウドファンディングをやめた理由は、「時じゃないな」でした。こういったプロジェクトは周りの空気感が揃っていないとできないので、自分の準備状況は二の次で、周りの人が協力してくれるかや社会的にそれが高まっているかとか、タイミングを重視していました。なのであまり無理にやる必要はないのかなと思いますね。ちょっとだけジャブを入れてみて、「これは返ってきそうかな」というのを確認して、いいタイミングだったらやったらいいんじゃないかなと思います。



話し手:野口浩二さん ( 里山生物多様性プロジェクト代表 )
聞き手:佐々木正志 ( 合同会社sunsunto )
書き手:吉川友斗(合同会社sunsunto)
※文中の記述はインタビュー当時の内容です。


■クラウドファンディングプラン
基本プラン:シンプルプラン(手数料12%)
オプションプラン:地域キュレーター伴走サポート+クリエイティブサポートプランライト(動画+チラシ)

※クラウドファンディングの問い合わせ・プラン詳細はこちらから
クラウドファンディングについて~シゴト場カケル~


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