坂口 恭平 著『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』2010年11月12日

 おはようございます。自称「発泡スチロールの上の女」神垣です。

 ダンボールで寝たことはありませんが、
 発泡スチロールの上で寝たことはあります。

 20年前、まだ駆け出しのコピーライターだった頃
 勤めていたデザイン制作会社の仕事が忙しく
 事務所に泊まり込むとき

 ボスから
 「冬場、寝るときに暖をとるなら
  発泡スチロールの上に限る」
 と教わった記憶が…
(ハレパネという薄い発泡スチロールの板を
 仕事でよく使ってたんです)。

 二番目の勤め先の編集プロダクションでは
 冬は深夜になると事務所の暖房が切れるため
 足に新聞紙を巻いて徹夜した記憶も…。

 若かったあの頃。
 なんかサバイバルに仕事してました。

 でも、発泡スチロールより
 ダンボールの方が断然
 暖かいらしいです。

 ということを
 この本で知りました。
 「ゼロから始める都市型狩猟採集生活」

 久々に「読んで良かった~!」と
 思える本でした。

「所持金なし、宿もなし、仲間も家族もなし。
 きみは、そんな状態で東京のド真ん中に突っ立っている」

 このゼロ状態から、何ができるか…。

 それを実際に、達人に聞き、学び、体験し
 都会でゼロから暮らす知恵と工夫を
 具体的に説いているのが本書です。

 60円でワンカップが買える自動販売機のありか。
 毎日食べきれないほどの<都市の幸>を採集するには。
 「東京は今、ゴールドラッシュだよ」という意味は?

 この答えが、すべて本書の中にあります。

 私が一番感動したのは
 「ザ・ベスト・ダンボールハウス」の話。

 ダンボールで作った家の中って
 真冬に毛布なしでも汗をかくくらい
 暖かいんですって。

 発泡スチロールの上で寝たことのある身としては
 それ、分かる気がする…。


 本書を読んで
 今すぐ路上生活を始めようとか
 それを勧める気など、ありません。

 でも、本書を読むと
 今の自分の生活が
 一見、豊かなように見えて
 ずいぶん窮屈で不自由だということに
 気づくんです。

 なんだか、とっても人間らしくないなぁ
 と。

 本書には、東京という大都会で
 別の価値観で“豊かに”暮らす人々の
 生活ぶりが紹介されています。

 先日、浅草から水上バスで
 隅田川を下った数日後に本書を読んだので

「あ、あの水上から見た草むらや林のあたりに
 鈴木さんの家があったのかなぁ」

 と、台風が去った後の隅田川の光景を
 改めて思い出したのでした。

 どんなビジネス書より
 考えさせられ、自分の思考をリフレッシュしてくれる一冊。
 もの、家、暮らしに対する考え方が変わります。

 今、お疲れ気味の全ての人に
 読んでみてほしいなぁ。


 坂口 恭平 著『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』

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本書を読むと、もののみごとに
視界がパ~ッと開けた感じがしますから。

(VOL.1387 2010年11月12日配信 メールマガジン あとがきより)

#金曜あとがき

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