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ベルンシュタインから考える

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ロシアの運動生理学者・ベルンシュタインの考えをまとめています。
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2021年8月の記事一覧

#14 ベルンシュタインから考える⑧『動作構築のレベル』その2

#14 ベルンシュタインから考える⑧『動作構築のレベル』その2

前回はレベルAの話でしたが、今回はレベルBの話です。

レベルB:筋-関節リンクのレベル
このレベルBは、もともと移動運動を行う際に発達したと考えられています。

残酷な例ですが、カエルやニワトリの頭を落とされても、その後少しの間は歩けます。この役割を果たすのがレベルBなのです。

しかし、現在は移動運動のレベルではないとされます。大脳の発達により、その役割を終えることになったのです。

では、今

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#13  ベルンシュタインから考える⑦『動作構築のレベル』その1

#13 ベルンシュタインから考える⑦『動作構築のレベル』その1

動作のレベル分け
今回から『動作』をレベル別で見ていきたいと思います。

ベルンシュタインは、動作を以下のようにレベル分けしています。

『緊張(トーン)のレベル(レベルA)』

『筋-関節リンクのレベル(レベルB)』

『空間のレベル(レベルC)』

『行為のレベル(レベルD)』

それぞれのレベルを単独で捉えるのではなく、階層的また相互的に考えていく必要があります!

今回は、『緊張(トーン)

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#12  ベルンシュタインから考える⑥『動作の構築について』

#12 ベルンシュタインから考える⑥『動作の構築について』

前回まで、動作の起源について(①・②・③ )見てきました。

今回は、人間の発達について考えていきたいと思います。

生物発生の法則
ヘッケルという生物学者は、自然界における生物発生についての法則を挙げています。

祖先のたどってきた進化系統的発達の主要な段階のすべてが、その種の個体的発達の初期に要約されたかたちで繰り返される。

これは、どういう意味でしょうか。

少しイメージしにくいかもしれな

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#11 ベルンシュタインから考える⑤『動作の起源について』その3

#11 ベルンシュタインから考える⑤『動作の起源について』その3

前々回は生命の誕生について、前回は横紋筋の発達についてでした。

今回は、脊椎動物の進化についてみていきたいと思います。

脊椎動物の進化
横紋筋の出現により、①感覚による調整、②体肢の発達、という2つの進化が起こります。

①感覚による調整については、『運動制御について』で説明した通りです。

高度に発達した動物は、感覚が動作に先立つとされます。
逆に、下等な動物では、動作によって感覚が提供され

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#10 ベルンシュタインから考える④『動作の起源について』その2

#10 ベルンシュタインから考える④『動作の起源について』その2

前回は、生命の誕生から原始的な知能が発達するまでの話でした。

今回は、その後の話です。

横紋筋の発達
原始的な知能の発育に続く大きな進歩として、横紋筋の出現が挙げられます!

横紋筋は、それまで古い筋細胞である平滑筋とは大きく異なる特徴を持っていました。

横紋筋は、ハエや蚊などの羽根が毎秒数百回も羽ばたくように、生命に力強い素早いエンジンを与えました。

これにより、のそのそと動くことしかで

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