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展覧会レポート ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展 ジェイアール名古屋タカシマヤ

年も暮れとなってまいりました。書き起こしていない展覧会がいくつか残っているけれど。とりあえず今年5月に足を運んだ北欧デザイン展の様子も簡単に書き記しておこうと思う。

会期 2023年4月20日(木)〜5月7日(日)

北欧デザインの思想から紐解くジェンダー平等、SDGs、生活を知ることにより、これからの未来につながるヒントを得る、というコンセプト。

椅子研究家で、東海大学名誉教授の織田憲嗣氏のコレクションから厳選した400点を展示。

椅子に座り比べができる展示では、照明の明度が時間と共に移り変わり、朝から夜にかけてのダイニングリビングの様子を感じられるようになっていた。

美しいデザインに囲まれて生活する北欧の人たちの映像の展示もあった。1つはデンマークコペンハーゲンの子育て家庭の様子。子どもと共に食事を摂り、夜寝るまでの時間を子どもを遊ばせながら穏やかに過ごしていた。子育ては手伝うものでなく一緒にするもの。育児休暇を交互に取ったとパパが話していたのが印象的だった。

もう1つはスウェーデンのゴットランド島で過ごす淑女と娘さん親子がサフランスパンカーカというお菓子を作って食べたりしている映像だったと記憶している。流れる時間が穏やかで「良いデザインによって良い暮らしをしようとしていた」という言葉にふさわしい映像だった。

子どもだって1人の人間であるという子どもへの対等・平等なスタンスと考え方は、子ども用家具のデザインにも表れている。すぐに過ぎてしまう時期であっても、だからこそなのかもしれないが、大切な時期だと捉え、デザイン性の高い家具を使い、心地よく過ごす。その家具が父や母が幼少期に使用していた家具だったら。物への愛着を育てるだろうことは想像に難くない。

子どものおもちゃ 芸術作品のよう
子ども用の家具 美しいデザイン
イッタラのバード達 全部職人さんの手作り 同じデザインでも個体によって表情が違って可愛い
個性的で斬新なデザインの椅子達
調理器具、テーブルウェア
アクリルのボックスに入ってしまっているのが少し残念

120 余年前にエレン・ケイの冊子『Beauty in the Home(住まいの中の美)』の中で掲げられた「美が人生を豊かにする」という思想は北欧全体へと染み渡り、美しく暮らすためにものが生まれ、美しいデザインに囲まれてまた暮らしが豊かになる、、、という素晴らしい循環が誕生します。それはやがて「国(=Home)も同じ」という思想へと発展し、結果、皆で支え合う美しい暮らし方「福祉国家」という理念を当然と受け入れ、現在の高度な循環型社会へと、流れるように舵を取っていったのです。

展覧会webサイトから抜粋

安価で気軽に使い捨てができるものではなく、美しく長く使えるしっかりとした作りで長く使いたいと思うデザインのものは地球にも優しい。
社会全体がそう思えて、全ての人が生きやすい社会へ一歩でも進むためにはどうしたらいいか。

色々と思うことはあるが、大切な視点だと思ったのでした。

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