【140字の小説】戀う4
おばあちゃんの最期の言葉は「さ ら ば」。
「ありがとう」でも「さようなら」でもなく「さ ら ば」。
おじいちゃんは、ちょっと困ったような顔をしてうなずいた。
軽やかで清々しい「さ ら ば」が、風に吹かれて消えて行く。
遠い日の絶望も希望も、寄り添う心もケロリと振り解いて、世界が終わる。
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