見出し画像

【140文字の小説】戀う2

病室のベッドサイドに腰掛けて、おじいちゃんは
眠るおばあちゃんの手をとる。
節くれだった手で、生れたての子猫をあやすように
そっと、そっと、なでている。
おばあちゃんの記憶の中に、おじいちゃんは、もういない。
それでも、おじいちゃんは言う。
「ここにおるで、安心せい」
窓の外で木の葉が鳴いた。


#おじいちゃんおばあちゃんへ


この記事が参加している募集

記事は、基本的に無料で公開していますが、もしもサポートしていただけるのなら、こんなに嬉しいことはありません。励みになります。今後とも、よろしくお願い致します。