ダイヤモンド

窓際から手を振ったよ
相も変わらず
君は俯いている影法師

最初の春の話
君は覚えてる?
覚えてるはずないよね ごめんね

君の心知る由もない
私の言葉は霞
君にとっては

窓際から手を振るんだよ
今度こそは
きっと目を逸らさずに振るんだよ

最初の春のあの日
私覚えてる
桜の咲く庭には君の声

未来の私から届いた
手紙なんて碌に読まずに破いたさ
君の言葉はダイヤモンド
私にとっては

君の蜃気楼を見てた
春も秋も冬も全部
夢の跡さ
空に鏤めたダイヤモンド
私の心はダイヤモンド
私にとっては

『ダイヤモンド』 2022年12月

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