知ったかぶりニュージーランド<2>

どうもシゲです。

今回からようやくNZの都市の紹介が始まります。記念すべき第一回目の都市は「オークランド」です。

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オークランドは北島の北部に位置するNZ最大かつポリネシア地域最大の都市で166万(2017年)の人口を擁し、これはNZ総人口の3分の1を超える数です。ただし行政区分が日本とは完全に同一というわけではないので多少感覚が異なるかもしれません。この人口はオークランド地方全体の物です。「都市」として見た場合、オークランド地方の中心であるオークランド市の人口は140数万人です。すぐ下にNZの行政区分を簡単にまとめたので参考にしてください。

・Regional Council(広域自治体):大体日本の都道府県に相当します。全体で16地方の他に特別領などがあります。大半の広域自治体は複数の地域自治体(下で説明)を包括していますが、オークランド地方に属する地域自治体はオークランド1つのみです。

・Territorial Authorities(地域自治体):日本の市区町村に相当します。

・Unitary Authority(統合自治体):上記の2つの機能を兼ね備えた自治体です。オークランドなどが該当します。

オークランドは100以上の言語が話され200以上の民族が生活すると言われるほど非常に国際的な都市で、シドニー・ロサンゼルス・ロンドン・ニューヨークよりも多様性が豊かだという統計が出ています。※1
全住民の半数以上(53.5%)を占めるのが主に早い時期から入植してきたイギリス・アイルランド・スコットランド人などの子孫であるヨーロッパ系人種です。しかしまた逆に言えば半数近くは別の人種ということです。最も多いのがアジア系住民で28.2%、次点で太平洋諸島系住民が15.5%、その下に原住民のマオリ系、中東系/ラテン系/アフリカ系と続きます。※2
海外で出生した人間が39%にのぼり、留学生や移民の受け入れを官民一体で幅広く行っています。ただし人口がオークランドに集中し過ぎている現状を踏まえ、他の都市での移民を申請すると加点され永住権がとりやすくなるといった対策がなされています。
しかしこのオークランド、最大の都市ですが実は首都ではありません。NZは二度の遷都を行った歴史があり、現在のウェリントンが新都として選ばれる一つ前の首都を担っていました。
オークランドはCity of Sails(帆の街)という異称を持つほど大量の船舶が港に停泊しており、人口に対する小型船舶の所有率は世界一になると言われています。一体どこからそんな金が。

観光面の話ですが

正直に言えば観光地としての魅力はNZの他の都市に劣ります。日本のツアー旅行でも大抵は日程の最後の1日に組み込まれて土産を購入するくらいの場所にしか扱われません。そして東京生まれ東京育ちで生粋の東京人の私にとっては日本の地方都市以下に感じてしまいます。中心地を歩き回って「え、これだけ?」というのが初めて胸に抱いた感想でした。国際色豊かな反面、異国感が薄いのではるばるNZに来たぞという感覚はあまり無いです。
ですが、人によって興味の対象は異なりますし必ずしも見るものがないというわけではありません。以下にいくつか個人的なおすすめを紹介していきます。

University of Auckland(オークランド大学)

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オークランド大学はオークランドだけではなくNZ全体を代表する大学で、世界大学ランキングでも毎年上位に食い込み日本の有名私立大学や一部の国立大学なら余裕で凌駕します。学生は優に4万人を超え、その内留学生は8000人に上ります。ちなみにNZには大学が8校しかなく全てが国立です。街の中心部にある高台にキャンパスを構え、図書館は学生以外でも中に入り蔵書を閲覧するとが可能です。この図書館のすぐ横に石壁がありますが、これはNZがイギリスの植民地となってからすぐの19世紀半ばに反政府体制のマオリ人対策として築いた防御壁の遺構です。大学及び大学の真横にあるアルバート公園の辺り一帯は当時イギリス軍の拠点のひとつでした。
オークランドにはもう一つAUT University(オークランド工科大学)が存在しますが、これは2000年に認可されたNZで最も新しい大学です。NZは大学の認可が厳しいのですが、将来大学になることを見据えてUnitecという名称に変更した専門学校も存在します。このUnitec、一度大学認可申請をして条件不十分として蹴られています。完全に名前負けです。
ところでAUT Universityという名前の違和感に気が付きませんか?
AUTというのはAuckland University of Technologyの略称なのでAUT Universityだとオークランド工科大学大学という謎の名称になってしまいます。しかし細かいことを気にしないのがNZ人の良いところ。また、オークランド大学とAUTは道を挟んで隣り合っていますが、グーグルマップ(日本語)で上空から見るとなぜかオークランド大学がオークランド工科大学と書かれています。この表記間違い、私の知る限りで少なくとも6年以上は直っていません。
小話:アメリカと違いNZではCollegeは大学ではなく中等教育機関を意味します。

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大学内部からみた外の景色。奥に見えるのがランギトト島。

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新年度が始まり学生で活気づくキャンパス内。左奥の建物が図書館。

Mount Eden/Maungawhau(マウントエデン)

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マウントエデン(マオリ語名:マウンガファウ)は、ランギトト島という火山島を除けばオークランド市街地に存在する最も高い自然物で196mある休火山です。最近は休火山という言い方はしないらしいですね。街の中心から南にバスで10分程度の場所にあり、何と言っても特徴的なのは頂上から見える深さ50mの噴火口跡です。そりで下まで滑り落ちたい気分ですが中に立ち入るのは固く禁止されています。昔はそういう人間もいたらしいですが危ないですからね。余談ですがこの山の近くには19世紀末に建築されオークランド歴史遺産に登録されていた教会がありましたが2018年に火事で消し炭になりました
NZの山関連で言えば、世界一長い地名としてギネス記録に登録されているTaumatawhakatangihangakoauauotamateaturipukakapikimaungahoronukupokaiwhen­uakitanatahu
という山が北島の南西にあります。早口言葉ではありません。原住民族のマオリ人が使用するマオリ語を英語アルファベットで表記した名前で85字あります。標高が305mしかないので舌を噛まずに言えるように練習している間に恐らく登頂可能です。

One Tree Hill(ワンツリーヒル)

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はい、また山です。オークランドは火山が多い。(前記事参照)
山頂にそびえ立つ巨大なオベリスクが特徴的な死火山です。Cornwall Park(コーンウォールパーク)の中にある小高い山で、徒歩だと多少時間がかかるので余裕を持って登ると良いでしょう。このオベリスクはマオリ人に対する敬意を示す目的で造られた物で、塔のすぐ下には建設費用を遺産として寄付した元オークランド市長、John Logan Campbellの墓があり周囲に低い柵が張り巡らされています。以前友人と訪れた際に韓国人観光客の団体が熱心に記念写真を撮影している場面に出くわしましたが、果たして英語が読めないのかそれともモラルとマナーがないのかその柵の内側に立ち入りバシャバシャと撮っていました。近くにいたNZ人にここは墓だぞと注意されていましたがあまり理解していない様子でした。普段怒りの感情を見せない友人が非常に嫌悪感を抱きながら、白人から見たら顔が似ているから一緒にされたくないとうんざりしていました。大丈夫だと思いますがここに行く際、日本人の皆さんは気をつけましょう
公園内にはヒツジが放牧されています。人間が近づくとビビって逃げるので写真を撮るときは脅かさないように距離を詰めると失敗しません。

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Devonport(デボンポート)

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デボンポートはオークランド中心部から湾を挟んで向かい側にある半島南部の小さな町です。オークランドの港からフェリーに乗り10分ほどで到着します。町中には有料の馬車が周遊しているので、乗車すれば景色と定期的に落ちていく馬糞のコントラストを楽しめます。
非常に小ぢんまりとした町ですが、大通りにはレストランやカフェ、ギャラリー、アンティークショップなどが立ち並び、落ち着いて洒落た空気が観光客に人気です。通りを抜けた北側にはMt. Victoria(ビクトリア山)があり、山頂からはオークランド中心部のスカイラインが一望できます。また、ここから東の端にはNorth Head(ノースヘッド)という別の山があり、この2つの山頂には19世紀後半頃から太平洋に出現するロシア艦隊への懸念が高まってきたことへの対策として導入された大砲や機関銃が今でも安置されています。
山頂に向かう際に草がつぶれていて明らかに誰かが通って行ったであろうショートカットが山の斜面に見えますが、かなり急勾配な上に体力を消費します。多少長くても車道を回っていった方が吉です。私の友人はズボンを汚しました

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Parnell(パーネル)

パーネルはオークランドでも指折りの高級住宅街です。以前は元首相のジョンキーが住んでいた邸宅がありました。(売却済み)
話は逸れますがジョンキーが退陣後、仕事上のパートナーの1人として深見東州(東京近郊の人間ならお馴染みの、謎CMやJR車内広告で有名なあの怒濤の合格みすず学苑の元締め)がいると新聞記事が出たことがあります。※3 
中心の通りには様々な店舗が立ち並び、いかにも高級な雰囲気を漂わせています。パーネル地区には公園が複数ありその中でも特に有名なのがAuckland Domain(オークランドドメイン)です。オークランド市内で最も古く最も広大な敷地を持つこの公園はかつての火山跡で中には小さな植物園や戦争記念博物館があり、この博物館内には本物のゼロ戦が展示されています。

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Auckland CBD(オークランド中心業務地区)

オークランドの中心部、いわゆるCityです。Queen St(クイーンストリート)という目抜き通りが港を突き当りにして南北を貫いており、基本的な商店はここに全て揃っています。クイーンストリートから横に伸びるVictoria St(ヴィクトリアストリート)には南半球で最も高いタワーであるスカイタワー(スカイツリーではない)があり街のシンボルとなっています。また、同じ通りに逆バンジーという下から上に飛んでいくアトラクションが存在します。街のまん真ん中にある上に大通りのすぐ横にあるので発射される人間は通行する観衆の目に晒されますし撮影されます
クイーンストリートを南に登り切るとKarangahape Rd(カランガハペロード)、通称Kロードと呼ばれる通りにぶつかります。ここは夜の街としての顔を持ち坂の下とは違った多少濃厚な感じが味わえます。私の友人はここでオカマに追いかけられ走って逃げました。観光客が一人きりで夜中に出歩くのは避けた方が良いです。


他の見どころとしては動物園・水族館・交通博物館などなど都市にはよくある施設が並びます。スカイタワーや湾で分断されている中心地と北を繋ぐハーバーブリッジという橋ではバンジージャンプが体験できます。(オークランド以外でもできます) 

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2012年10月1日 Kelly Tarlton's水族館 ペンギン14

多少マニアックなものとしては映画「戦場のメリークリスマス」で撮影に使われた駅舎があります。この駅舎は現在オークランドとウェリントンの2都市間を繋ぐ長距離鉄道のみが使用する駅で、上層階はアパートになっています。日常的に使われる駅は港の傍にあるBritomart(ブリトマート)で、この駅を始発兼終着駅として西・東・南に路線が伸びています。数年前まではオークランドの列車は電車ではなくディーゼル車だったので非常にうるさかったことを記憶しています。現在、市内に新駅を2つ建築途中で数年後に変化した街の姿を見られるかもしれません。

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オークランドの紹介はこんなもので終わります。いかがでしたか?行きたくなりましたか?観光でなら楽しいですが住むと飽きます。
NZを知ったかぶる機会になれば幸いです。
次回はまた別の都市を紹介していきます。それでは。(2020/09/29)
(2021/07/08編集)


※1:https://www.nzherald.co.nz/nz/news/article.cfm?c_id=1&objectid=11575305

※2:https://knowledgeauckland.org.nz/media/1443/asian-people-2018-census-info-sheet.pdf

※3:https://www.newshub.co.nz/home/politics/2017/03/john-key-s-new-billionaire-boss-a-shinto-priest-and-opera-singer.html





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