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新型コロナウイルス関連の記事をまとめました
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#オミクロン株

オミクロン株に対するT細胞応答 ー 抗CD20モノクローナル抗体で治療中の多発性硬化症患者での研究 ー

オミクロン株に対するT細胞応答 ー 抗CD20モノクローナル抗体で治療中の多発性硬化症患者での研究 ー

 今日はこの論文をご紹介します。少し免疫について復習したあと、論文の解説をいたします。この論文から得られるいちばん重要なメッセージは、抗体が作られない状況でも、ワクチンによって新型コロナウイルスと戦うT細胞ができるということです。しかも、抗体より長続きするようです。

抗体が減少すると?

 ワクチンによって作られた中和抗体が血液中にたくさんあると、侵入してきたウイルスが抗体により排除されるため感

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オミクロン株亜種 BA.2はBA.1より重いのか?

オミクロン株亜種 BA.2はBA.1より重いのか?

新型コロナウイルスのオミクロン株亜種BA.2は感染性の高さが懸念されていますが、重症度はどうなんでしょうか。今いちばん気になることですね。ハムスターへの感染実験でBA.2の方がBA.1より症状が強かったという査読前の論文はありますが、ヒトではどうでしょうか。まだ確信できるデータは出てませんが、期待できる予備的なデータが出始めています。

Clinical severity of Omicron s

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子どもの新型コロナウイルスワクチン

子どもの新型コロナウイルスワクチン

5~11歳の新型コロナウイルスワクチンについては、判断に迷うところです。現時点では、私は原則として接種した方がよい(特に年長であるほど)と考えていますが、「絶対にやりなさい」というよりは「接種した方がいいし、おすすめするけど、しっかり考えてみてね」というスタンスです。最終的には家族の判断だと思いますが、そのためには判断材料が必要です。今日は、そこのあたりをまとめてみました。

実際接種されるワクチ

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オミクロン株はなぜ病原性が低下したか

オミクロン株はなぜ病原性が低下したか

オミクロン株の病原性の低下の理由が少しずつ解明されつつあります。この論文ではウイルスの変異によってTMPRSS2という酵素のはたらきが低下することが原因ではないかと推測しています。

コロナウイルスは大きく分けて二つの方法で細胞に侵入します。

ひとつはACE2と膜貫通型セリンプロテアーゼ2(TMPRSS2)を介する方法(画像のa)。スパイクタンパクはS1とS2という二つの部分からなります。まず細

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東京都のコロナ感染症の動向(2022年1月~)

東京都のコロナ感染症の動向(2022年1月~)

 8月からアップが止まっていました。FBでは継続しているので、同時にアップするくせをつけないといけませんね。

 さて、ここ一カ月半の東京都の新型コロナ感染症の動向です。その前に重要なことを。新規陽性者数はひとつの重要な指標ではありますが、それだけで判断するものではありません。オミクロン株となってウイルスも変化しておりますし、ワクチンによる免疫学的背景の変化、検査試薬不足や未受診者の増加などの社会

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東京都のここ2か月の年代別新規陽性者数の動向

東京都のここ2か月の年代別新規陽性者数の動向

  今日はここ2か月の東京都の年代別新規陽性者数の動向です。図を見てください。デルタ株(右)とオミクロン株(左)を比較しています。

  デルタ株ではまず20歳代、30歳代が急速に増え、わずかに遅れて40、50歳代、そして高齢者と広がりました。ちょうどワクチン接種が急速に進行していた時期で、しかもデルタ株にはかなり効果があったため、接種を完了した高齢者の感染は少数にとどまりました。ミドルエイジのワ

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